高校女子硬式野球の全国選抜大会、22回目の今大会には最多33チーム出場

 第22回全国高校女子硬式野球選抜大会が2日に閉幕した。昨年は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、組み合わせ抽選会後に大会史上2度目の中止に。高校生活最後の選抜大会へ出場できずに卒業した先輩たちの想いを背負い、履正社女子硬式野球部は2年ぶりの選抜大会へと挑んだ。

 2000年から開催され、女子高校生が出場する日本最高峰の硬式野球大会。第1回から第14回までは兵庫県で行われ、第15回大会は埼玉県行田市、第16回大会以降は現在の埼玉県加須市の「きずなスタジアム」が“目標の場所”に。その加須市は、12球団初のプロ野球チーム名を冠した西武公認の女子野球チーム「埼玉西武ライオンズ・レディース」が本拠にしており、女子野球の普及・発展と女子野球を基軸とした地域活性化を推進している。

 22回目を迎えた今大会には、初出場3チームを含む史上最多の33チームが出場。2017年以来、2度目の優勝を目指した履正社は、「やったるで!」をスローガンに掲げ、常に笑顔を絶やさない明るいチームを作ってきた。いつも試合前にはムードメーカー複数人が一発芸を披露し、笑いを誘うこともあれば失笑させることもある。全国大会の舞台でも持ち前のノリの良さは健在。「楽しく野球をやってほしいですよね」。橘田恵監督がよく口にする言葉だ。

無観客開催も宿舎に届いた寄せ書きのFAX「遠くても心は一緒に」

 初戦は、2019年の前回大会で準優勝したクラーク記念国際(宮城)に勝利。その後も、笑顔を絶やすことなく横浜隼人(神奈川)、学芸館(岡山)と強敵に打ち勝った。全日程無観客開催のため父母や先輩たちはネット配信での応援。しかしベスト4決定後、野球部の宿舎に全国大会で奮闘する“娘たち”へ宛てた寄せ書きがFAXで届いた。

「やったるでー! やったろうー!!!」
「画面越しにデカい声で応援してます!」
「遠くても心は一緒に応援しています!」

 A4用紙合計8枚にも及ぶ寄せ書きの後半には、昨年の大会が中止になり、選抜の舞台に立てなかった5期生からの寄せ書きも並んでいた。

 準決勝で対戦した大会2連覇中の神戸弘陵(兵庫)は、ジャイアンツカップ優勝投手・島野愛友利(新3年)を擁する優勝候補。3連覇阻止のため、履正社ナインはみっちりと島野の速球対策を積んできた。打撃練習はマウンドの1メートル前から投手に投げさせ、バッティングセンターでも汗を流した。試合当日はバットを短く持ち、好投手の攻略に成功。この試合まで温存していたエースの大向真央(新2年)は、完投勝利を収めた。

 そして2日の決勝戦。硬式野球では、男女とも春夏通して新潟県勢初の全国制覇を狙う開志学園が相手だった。

「笑って大阪帰るで!」

 橘田監督から選手に告げられた言葉に呼応するように、表情が明るくなる選手たち。試合開始の挨拶を終えると、ナインはそれぞれ笑顔で守備位置についた。

3点リードの展開も最終回に逆転許して準V「全員野球ができた」

 先発の坂尻咲希(新3年)は5回2/3を投げ1安打に抑え、故障明けを感じさせない好投。仲間の好守に何度も声を上げ、喜んだ。3回裏に谷本晴望(新3年)の二塁打や主将・花本穂乃佳(新3年)の三塁打などで2点を先制。5回裏にも谷本が生還し、0-3と有利な展開を作った。

 最終の7回表、学芸館戦で今季初登板し、ピンチを切り抜けた真砂寧々(新2年)がマウンドへ。先頭で迎えた開志学園の3番・三浦帆菜(新3年)を四球で出塁させると、その後も制球が定まらず甘い球を捕らえられた。5番打者以降、3者連続で出塁を許し、1点を返された。

 満塁の窮地で、エース大向が救援。しかし、開志学園の8番・関口心愛(新2年)に左前打を浴び、さらに左翼の古屋美琴(新3年)が後逸。一気に3点を追加され、逆転を許した。この回さらに1点を失い、3-5に。その裏の攻撃は古屋の中越え二塁打のみで、反撃はならなかった。

「全員最後まで笑顔を忘れずに、全員野球ができたんじゃないかと思います。FAXが届いたり試合前に動画が届いたり、応援してくれる人たちのために勝ちたかったけど、開志学園さんの方が勝ちたいって気持ちが強かったんだと思います」。この日3打数3安打でチームを牽引した花本は、3回戦まで思うようにヒットが打てなかった「応援してくれている人のためと思うと、気が楽に抜けて楽になりました」と背中を押された。

 今回の敗戦で多くの課題が見つかった。大事な場面でマウンドを任される下級生に負けない上級生の成長の必要性や、チャンスを確実に得点に繋げる攻撃力の向上……。履正社女子野球部らしく、夏を笑顔で終えられるように。次こそ狙うは日本一だ。(喜岡桜 / Sakura Kioka)