「学校に入れてもらえたら…」ハードルの低さですそ野拡大目指す

 プロ野球で主軸を張り続けた強打者は迷っていた。12日、野球をよりスピーディに、カッコよく進化させたストリート競技「Baseball5」の体験イベントに参加した前巨人監督の高橋由伸氏は、いざボールを打とうとすると、どちらの手で叩けばいいのかわからなくなったという。

 このスポーツは野球をベースとしながらも、自分でトスしたゴムボールを打って初めてプレーが動く、いわば「手打ち野球」だ。今回が初体験の高橋氏は「バッティングと同じ動きで行けそうな雰囲気はある。でも飛ばしすぎてもダメだし、打つコースを狙うこともできる。それなら利き手がいいのかとも思いますしね……。いまだに迷っていますよ」と笑った。高橋氏は右投げ左打ち。野球の流儀に従えば右手でボールを上げ、左手で叩くことになる。一方で利き手のほうが自由に使えるとすれば、左手で上げて右手で叩くのもありだ。野球を極めてきたからこそ、この新種目の自由さに面食らい、さらに大きな可能性を感じた。

 少年野球人口が減少していることは高橋氏も危機感を抱いている。「Baseball5」ならより多くの子どもたちに、球を投げて打つ魅力を伝えられる。「やわらかいボールを遠くに飛ばすのは難しいので、スペースはいらないし、道具も使わない。いろんな意味での負担がありませんよね。プレーは熱いですけど危ない場面も少ないと言えると思います。きょうは野球をやったことのない子もいましたけれど、臨機応変にルールも変えていい。野球よりもハードルが低いといえると思います」。18メートル四方のフィールドに飛び入りし、打ち、走る子どもたちの姿に目を細めた。その上で、より多くの人に知ってもらうため、学校体育での活用を提案する。

「学校に取り入れてもらえたらいいですね。今、公園でもボールを使っちゃダメとか、いろいろと規制が厳しい。そんな中でも投げる、取るといった運動能力を高めてもらえると、僕ら野球界の人間としてはうれしいですよね」

 アテネ五輪銅メダリストでもある。ボールを打つ、というベースボール系のスポーツが、なかなか世界中に広まらず、それを理由に五輪種目として定着しないことに口惜しさがある。「難しいルールもないし、入りやすい部分がやり方によっては、もっと世界に広められるのかな。それが野球やソフトボールへの導入部分となってくれればいいですし」。競技独自の発展もよし、それが野球の発展につながってくれればなお良し。高橋氏は大きな期待をもって「Baseball5」を見つめている。(Full-Count編集部)