7回を投げて2安打無失点で今季3勝目をマーク

■ソフトバンク 6ー1 西武(25日・メットライフ)

 東京五輪での活躍を経て、いよいよ本領発揮と言えそうだ。ソフトバンクの千賀滉大投手は25日、敵地メットライフドームで行われた西武戦に先発し、7回1死まで6四球を与えながら無安打無得点に抑える快投。結局7回2安打9奪三振無失点で今季3勝目(1敗)を挙げた。

「6個もフォアボールを出して、どうなることかと思いましたが、0に抑えられてよかったです」。千賀は試合後のヒーローインタビューで苦笑いを浮かべていた。確かに言葉通り制球は荒れ気味だった。

 1回、いきなり2つの四球で1死一、二塁のピンチを背負ったが、4番・中村に外角高めの153キロのストレートを振らせ三振。続く栗山も156キロで遊ゴロに仕留め、先制を許さなかった。3点リードの4回も3四球で2死満塁に。ここで迎えた岸にファウルで粘られるも、カウント2-2から8球目のフォークで空振り三振に切って取り、窮地を脱出した。

自身2度目のノーヒッターは意識なし「何も考えていなかった」

 2019年9月6日のロッテ戦(ヤフオクドーム=現paypayドーム)に次ぐ自身2度目、史上10人目の複数回達成となるノーヒットノーランも視野に入った7回1死、岸に外角のカットボールを右前打された。「ピンチを自分で作っていたので、(記録のことは)何も考えていなかったです」と言うが、続く川越にもこの日の128球目を中前打され、森山投手コーチがマウンドに駆け寄った。

「ヒットを打たれて疲れが一気に出た感じだったけれど、『(力を)全部出し切ります』とのことだった」と明かしたのは工藤公康監督。実際、千賀は最後の力を振り絞り、外崎を153キロで二飛。源田をインローのカットボールで遊ゴロに打ち取り、計132球でこの回をしのぎ切った。

 今季は初登板だった4月6日の日本ハム戦で左足首靭帯損傷の大怪我を負い、3か月後の1軍復帰戦となった7月6日のロッテ戦では3回途中10失点の大炎上。再調整のためにファームに再降格となり、その状態が大いに心配された。

工藤監督「あの経験はあいつにとってすごくプラスだったのかな」

 しかし、“強行出場”した東京五輪でリリーフとして活躍し、復活のきっかけをつかんだ。特に準々決勝の米国戦では、5-6の1点ビハインドで迎えた6回に登板し、3者連続空振り三振の快投。米国打線の勢いを止め、9回の同点劇、延長10回の同僚・甲斐のサヨナラ打へとつなげている。

 後半戦は18日の楽天戦を6回無失点で終えたのに続き、これで13イニング無失点。工藤監督は「オリンピックでリリーフを経験したことが生きているんじゃないかと思います。ここぞという所ではギアを上げ、しっかり投げられていた。今こうして見てみると、あの経験はあいつにとってすごくプラスだったのかなと思います」と評した。

 この日の最速は158キロ。敵将の西武・辻発彦監督は「あれだけの速い球があり、カットボールも良かった。甲斐のリードも的を絞りにくかった」と、ともに育成出身で金メダル獲得へ登り詰めたバッテリーに脱帽した。ソフトバンクは25日現在、Bクラスの4位だが、首位オリックスとの差は4ゲーム。2年連続リーグ制覇と5年連続日本一へ、態勢が整ってきた。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)