「9回は最後の1人に行かせようと決めていた」三浦監督

■DeNA 8ー1 阪神(12日・横浜)

 DeNAが劇的な“ダブル復活リレー”で大勝した。12日、本拠地・横浜スタジアムで行われた阪神戦に今永昇太投手が先発。昨年10月に左肩クリーニング手術を受け出遅れたエースは、今季最長の8回を投げて6安打11奪三振無四球1失点に抑え4勝目(4敗)を挙げた。9回2死からは、左肘のトミー・ジョン手術から復活した田中健二朗投手が1092日ぶりの1軍登板を果たした。

 今永は初回、先頭の近本にいきなり左中間二塁打を浴び、2死後にマルテの適時内野安打で先制の1点を献上。ここで頭脳派左腕は、得意のチェンジアップが狙われていると察知。「見逃し方もそうでしたし、強引に引っ張ろうとせず、浮いてきたところを打とうという意図が見えました」と、2回からは捕手の戸柱と話し合い、チェンジアップと似た軌道ながら球速が上がるフォークとストレートを配球の軸に据え、これが功を奏した。

 3回1死二塁のピンチも、サンズを148キロの速球で詰まらせ遊飛。続くマルテもストレート4連投で空振り三振に切って取り、その後はスコアボードに「0」を並べた。

 7回終了時点で投球数は104に達し、首脳陣から意思を確認された。「中継ぎ陣は昨日も投げているし、僕自身8回にストレートの質や変化球がどうなるのか、チェックしたかった」と続投を志願。手術後初の8回も3者凡退で乗り切り、今季最多タイの112球で本格的な復活を印象づけた。

「リハビリに取り組んでいる彼らにも、希望を与えられる投球をしていきたい」

 2年ぶりの完投を狙う選択もあった。しかし、9回は三浦監督が別の粋な演出を考えていた。2番手の右腕・シャッケルフォードが2者を打ち取ると、左打者の糸原のところで、左腕の田中健に出番が与えられた。2016、17年に中継ぎで2年連続60試合以上登板するなど、チームのために投げ続けた左腕は、2019年にトミー・ジョン手術を受け、いったん育成選手となった。長いリハビリの末、今季2軍で実戦復帰。6月に支配下登録を勝ち取り、この日ついに1軍の舞台へ漕ぎつけた。1軍登板は2018年9月16日・阪神戦(横浜スタジアム)以来、3年ぶりだった。

 代打・原口にカウント3-2から四球を与えたが、続く小野寺を2球で追い込むと、3球目のフォークでボテボテの投ゴロに仕留め、自ら一塁へ送球して試合を終わらせた。

 田中健を出迎え、「ナイスピッチング! おかえり」とねぎらった指揮官。「条件が整えば投げさせたいと思っていた。打線が効率良く得点を重ねてくれたので、9回は最後の1人に行かせようと決めた。しっかり締めて、いい復帰戦になった。(試合後)田中はちょっと興奮していたし、僕も興奮しました」と明かした。

 マウンドを譲った格好の今永も「僕も感慨深いものを感じましたし、健二朗さんのリハビリを見守ってきたトレーナーさん、コーチ、家族の皆さんは一層ぐっとくるものがあったと思います。健二朗さんが最後を締めてくれて、価値の高い試合になりました」とうなずいた。

 今永と田中健が一緒に復活をアピールした試合となったが、DeNAのファームにはまだ、昨年2月に左肘のトミー・ジョン手術を受け、1軍復帰へステップを踏んでいる最中の東克樹投手、今年6月に右肘のトミー・ジョン手術に踏み切った平良拳太郎投手、8月に右肘のクリーニング手術を受けたドラフト1位ルーキー・入江大生投手らがいる。

 今永は「リハビリに取り組んでいる彼らにも、希望を与えられる投球をしていきたい」と誓った。三浦監督の就任1年目で苦闘が続くDeNAだが1、2軍を通して一体感が生まれつつある。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)