2点を追う6回先頭でセーフティバント「出塁に一番確率が高そうなのを選んだ」

■アスレチックス 3ー2 エンゼルス(日本時間20日・アナハイム)

 エンゼルスの大谷翔平投手は19日(日本時間20日)、本拠地・アスレチックス戦で「2番・投手」で出場して8回5安打2失点の力投。10三振を奪ったが、10勝目はならなかった。両リーグでは1918年ベーブ・ルース以来103年ぶりの2桁勝利&2桁本塁打はお預け。勝ち負けは付かなかった。打撃では2打数無安打2四球。7試合連続本塁打なしでトップのブルージェイズ・ゲレーロJr.とは2本差のままだ。

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 熾烈な本塁打王争いも関係ない。2点を追う6回先頭。大谷は体をくの字に曲げ、セーフティバントを試みた。「トップ(先頭)だったので単純に。安打というか四球でも良かったですけど、まずは塁に出るのが一番大事」。打球は投手ほぼ正面に飛んで投ゴロになったが、スラッガーはアウトになってもニッコニコ。そのチャレンジに本拠地ファンも記者席も騒然だった。

 5回まで剛腕・モンタスに1安打投球。大谷が申告敬遠で歩かされた3回2死一、二塁の同点機も生かせなかった。「チームとして抑えられている中で、ブンブン振っていっても仕方がない。(出塁に)一番確率の高そうなのを選んだ」。前日18日(同19日)に“流し打ちマルチ”を記録。復調の手応えも感じていたはずだ。個人タイトルに全集中していい中でのバント安打狙いは驚きでしかないが、大谷らしさ全開のプレーだった。

 日本人初の本塁打王の期待に、両リーグでは1918年ベーブ・ルース以来の2桁勝利&2桁本塁打。周囲は何かと騒がしいが、この主人公はブレない。「意識してやりたい」とまで言った本塁打王争いについては「競いながらやれること自体が少ない機会。(意識しないとは)もったいない」とキッパリ。個人タイトルや103年ぶり偉業よりも目指していることがある。「試合にこうやって多く出るのも4年間で初めて。最後まで健康で出続けて終わるのが一番かなと思っています」。言葉の端々から野球人としての成長、そしてチームの勝利にフォーカスしているように感じる。

 8試合連続ノーアーチ。シーズン終盤の打撃については「打撃自体も強引になっているところもある。しっかり自分の形で打てれば多少、(ストライクゾーンの)隅でもヒットになる確率は上がるのかなと思います」と自己分析。そして、さらに先を見据えたコメントを残した。

「もちろん(本塁打王を)取りたい気持ちはあるっちゃあります。取りたい気持ちもありながら1打席1打席いい感覚で。最後いい感覚で終わるか、悪い感覚で終わるかで、オフの取り組みも変わってくる。まずはいい打席を増やしたいなというのが一番かなと思います」

 残り13試合。2本差で追うブルージェイズ・ゲレーロJr.、1本差のロイヤルズ・ペレスとの争いは2週間後のシーズン最終戦まで続くだろう。例えタイトルや大偉業に届かなくたって、大谷にとっては、もっと大きなモノをつかむシーズンとなるに違いない。(小谷真弥 / Masaya Kotani)