黄金期のヤクルトにも共通する「全員で戦う姿勢」

 混戦のパ・リーグに、最終局面が近づいている。単一シーズンとしては1974年以来となるリーグ勝率1位での優勝を狙うロッテが首位を行き、28日現在2ゲーム差で追うオリックスが優勝すれば1996年以来、実に25年ぶり。3位の楽天は5.5ゲーム差、リーグ連覇がかかる4位のソフトバンクは6ゲーム差をつけられている。現役時代にヤクルト、楽天で名外野手として鳴らした野球評論家・飯田哲也氏がペナントの行方を占う。

 飯田氏は9月8日以降首位の座をキープし続けているロッテに、自身が活躍した1990年代黄金期のヤクルトに共通する長所を見出している。「点の取り方が上手です。進塁打などを挟みながら、地道に全員で戦う姿勢が一貫している。だからこそ、主力のマーティンが骨折で離脱した後も、その穴を感じさせない」と指摘するのだ。

 対照的にオリックスは、打率リーグトップの吉田正尚外野手が左太もも裏を痛め9月5日に登録抹消されると、吉田正不在の間7勝9敗1分で首位の座から陥落。主力の離脱がそのままチーム成績に響いてしまった。吉田正は26日に戦列復帰したが、万全の状態とは言い難い。

 飯田氏がオリックスの逆転Vの条件に挙げるのは、「大黒柱の山本(由伸投手)が先発する試合で絶対に負けないこと」。山本は5月28日以降破竹の12連勝中。今季防御率1.50、15勝、174奪三振をマークし、3部門でリーグ断トツの数字を残している(28日現在)。それだけに、万が一土がついた時にチームが受けるショックは計り知れないというわけだ。

楽天とソフトバンクは「大型連勝が必要」

「ここまで来ると、優勝争いは基本的にロッテとオリックスの一騎打ち。楽天、ソフトバンクが優勝するには、大型連勝が必要でしょう」

 楽天は開幕前、実績のある田中将大、涌井秀章、岸孝之、則本昂大に、ドラフト1位ルーキーの早川隆久を加えた先発5本柱で優勝候補に挙げられた。しかし今のところ、涌井は不振で登録抹消中。田中将は開幕直前に右ヒラメ筋を痛めて出遅れ、岸、早川も不振で先発ローテから外れた時期があった。「1年を通してローテを守れたのは則本昂1人。そこに苦戦の要因がある」と飯田氏は見る。

 ソフトバンクはここに来て、セットアッパーのリバン・モイネロ投手、守護神の森唯斗投手が戦列復帰。ようやく本来の戦力が整ってきただけに「優勝できなかったとしても、楽天を抜いて3位になれれば、CSを勝ち抜く可能性が広がる。(ジュリスベル・)グラシアル(内野手)も戻って来られるかもしれない。ロッテ、オリックスにとって不気味でしょう」と指摘する。

 ロッテとオリックスは、どちらが優勝しても久しぶり。さらにCSまで視野を広げれば、楽天、ソフトバンクを含めた“4強”から最後の最後まで目を離せなくなる。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)