ありとあらゆる部門で12球団トップの成績を残す今季の山本

 2位・ロッテに1.5ゲーム差をつけてパ・リーグ首位に立つオリックス。25年ぶりのリーグ優勝に向けて戦うチームの中で、出色の働きを見せているのがエースの山本由伸投手だ。2日のソフトバンク戦では2安打完封勝利。破竹の13連勝で、ここまでハーラートップを独走する16勝をマークしている。

 今季はここまで16勝、防御率1.42、182奪三振をマークし“投手3冠”。この他にも完投数、完封数、QS数、QS率、投球回、被打率、K/BB、WHIPなど、ほぼ全ての部門でリーグトップの数字を記録し、実に“11冠”。勝率.762はチームメートの宮城大弥投手に次ぐ2位と、輝かしい成績を残す。沢村賞はもちろん、25年ぶりの優勝となれば、リーグMVPもほぼ間違いない働きぶりだ。

 今季の山本の圧巻の投球内容はこうした主要な投球成績だけでなく、さまざまな指標でも驚異的な数字を叩き出している。セイバーメトリクスの指標などで分析を行う株式会社DELTAのデータを用いて、山本の傑出ぶりを読み解いてみたい。

 山本の奪三振率を表す「K%」は28.0%で12球団トップ。2位の柳裕也投手(中日)が26.0%と肉薄しているが、その次の宮城が22.3%と離れている。奪三振割合と与四球割合の差を示す「K-BB%」は22.5%で、これは両リーグでも群を抜いて傑出している。

2013年の田中将大よりも、山本は「WHIP」などの指標で上回る

 9イニングでの被本塁打割合を表す「HR/9」は0.32で、これも12球団トップ。被打率.183も規定投球回到達者の中で唯一、2割を切っている。1イニングあたりの許出塁を表す「WHIP」は0.86でこれも12球団ナンバーワン。「WHIP」が1を切っているのは山本と柳しかいない。守備から独立した失点率を評価する「tRA」は群を抜く1.64。2位につける柳の2.95とは大差がついている。

 近年のプロ野球で抜群の投手成績を挙げた投手として思い浮かぶのは、2013年の田中将大投手だろう。28試合に登板して驚異の24連勝。防御率1.27というとてつもない成績を残した。ただ、今季の山本は勝ち星こそこの年の田中には及ばないものの、指標を見れば、それに匹敵する投球内容を示している。

 2013年に記録した田中の「K%」は22.3%、「K-BB%」は18.4%となっており、山本はこれを上回る。さらには被打率.218、「WHIP」も0.94となっており、今季の山本の方が上だ。2013年の田中は、6回自責点3以内のクオリティスタートの率が「100%」、「HR/9」は0.25と山本より優れているが、多くの指標では山本の方が上だ。

 エース・山本の獅子奮迅の活躍が光るオリックス。主砲の吉田正尚外野手が骨折で離脱となる中で、25年ぶりの優勝をつかみ取れるだろうか。(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1〜3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。