盗塁の失敗には「必ず原因がある」、突き詰めて228盗塁を記録

 野球少年ならば、盗塁の失敗経験はあるはず。できることなら、決め続けていきたい――。通算228盗塁をマークした元巨人の鈴木尚広さんは「走塁のスペシャリスト」として20年間、プロの世界を生き抜いた。失敗が許されない場面で盗塁を決めたポイントを聞くと「失敗だけを振り返る」思考があった。

 名前がコールされると、突き上げるような歓声が球場に響く。鈴木尚広さんが代走で出場するのは、いつも1点を争う緊迫した場面だった。ベンチやファンが期待するのは本塁への生還。課せられた難題を事もなげにやってのけた。

 通算228盗塁のうち6割近い132を代走で成功させたこと。さらに、盗塁成功率.829と驚異的な数字を残したことだ。偶然、到達できる境地ではない。そこには、失敗を繰り返さない哲学があった。

「結果的に盗塁成功率はすごい数字になりましたが、一瞬一瞬、1つ1つに集中している結果。成功は当たり前と自分の中のベースを高く決めていたので、成功しても次に切り替えていました」

 鈴木さんは成功に浸らない。振り返るのは失敗だけだ。失敗には必ず原因がある。構えから硬かったのか、タイミングが合わなかったのか、スピードに乗れなかったのか。考えられる原因を分析し、その日のうちに修正する。絶対に翌日に持ち越さなかった。

 成功を追うのは「納得がいかない成功」だった時だけ。鈴木さんが失敗したと思っても、相手のミスで結果的に盗塁を決めるケースもある。

「成功したから、で終わらせず、完璧を求めて課題を直していく。失敗を課題として改善すれば、自分の成長や強みにつながると考えていました」

 失敗の原因を分析して修正する。シンプルだが、苦しくて投げ出したくなる。だが、地道に継続する習慣が、失敗を繰り返さない方法なのだ。(記事提供:First-Pitch編集部)