「女子選手が直接指導すること」が80人集まった要因だと考えている

 女子野球の熱を感じた1日だった。日本女子野球連盟と埼玉・加須市は25日、「加須きずなガールズベースボールクリスマス」を開催。今季までソフトバンクの監督を務めた工藤公康氏らによるトークイベントや野球教室を行った。背景には、女子野球で地域を盛り上げたいという主催者の強い思いがある。

 埼玉西武ライオンズ・レディースの本拠地・加須きずなスタジアムで行われたライオンズ・レディースと、西武OBのアカデミーコーチを務める石井丈裕氏、高橋朋己氏、金子一輝氏らによる講習会。近隣の女子小学生だけに絞ったにも関わらず、80人を超える女子選手が参加した。

 加須市は小学校から社会人まで全てのカテゴリーで女子野球チームがある唯一の市で、昨年12月には、日本初の“女子野球タウン”に任命された。春には女子高校野球の選抜大会も行われるなど、地域全体で女子野球発展に取り組んでいる。

 それでも当初は、参加者を集めるのに苦戦。「あるチームの監督さんから『なんでクリスマスにやるんだ』と言われたこともありました……」と市の担当者は苦笑いしたが、近隣地区の大会やイベントでビラを配り、最終的には80人を超えた。

 選手が集まった要因のひとつが「女子選手が直接指導すること」だと市の担当者は考えている。「(女子選手が直接指導することで)目標になるし、やっぱり目線が近くなることがよかったと思います」と分析。実際にライオンズ・レディースの選手たちは、体を触って指導し、自ら打撃や守備を実践。参加した選手からは「体の動かし方とか分からないことがよく分かった」と笑顔を見せた。

イベントでは、工藤公康氏、宇津木妙子氏らが指導論を語った

 午後からは、一転して指導者に向けた講演会がパストラル加須にて行われた。今季までソフトバンクの監督を務めた工藤公康氏と元ソフトボール日本代表監督の宇津木妙子氏が参加し、野球、ソフトボールが金メダルを獲得した東京五輪の裏話や自らの指導論、そして次世代の野球、ソフトボールの普及まで――。2時間に及んだ熱い談議に観客は耳を傾けた。

 日本女子野球連盟の理事長・山田博子さんは「女子野球が当たり前の競技に」と願う。今年8月に全国高校女子硬式野球大会の決勝戦が甲子園球場で行われたり、今月18日には、マリナーズのイチロー氏(会長付き特別補佐兼インストラクター)が結成した草野球チーム「KOBE CHIBEN」と女子高校硬式野球選抜がエキシビジョンマッチを行うなど確実に成長の一途をたどっている。

 加須市では新たに、ふるさと納税の返礼品にライオンズ・レディースのグッズを盛り込むなど、地域と女子野球の連携を強化。次は盛り上がりが当たり前になるように、女子野球と加須市がともに支え合い進み続ける。(川村虎大 / Kodai Kawamura)