元捕手・野口寿浩氏が見た“変身の舞台裏”

 楽天が首位を快走している。9日現在、1分けを挟んで10連勝中。6連勝中で4ゲーム差の2位につけるソフトバンクとマッチレースになりそうな雰囲気も漂っている。9年ぶりとなるリーグ優勝の成否のポイントはどこか。一方、他球団が楽天の破竹の勢いを止める鍵とは? 現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が分析した。

 まず、昨季までと比べて大きな“プラスアルファ”となっているのが、日本ハムをノンテンダーで自由契約となり加入した西川遥輝外野手の存在だ。全30試合で「1番・左翼」でスタメン出場。リーグ2位の8盗塁をはじめ、24打点(同4位)、打率.306(同5位)、5本塁打(同5位タイ)とチームを牽引している。

「西川が入ったことで、周りの選手の盗塁、走塁に対する意識も高まりました。春季キャンプでは、西川が他の選手にアドバイスをする姿も見られましたから」と野口氏は指摘する。実際、西川自身のみならず、昨季4盗塁の山崎剛内野手が8盗塁、昨季5盗塁の小深田大翔内野手も既に4盗塁をマーク。昨季リーグ最少の45に終わったチーム盗塁数が、今季は現在リーグ2位の29。大変身を遂げている。「打率が下がることはあっても、走力が極端に落ちることはありませんから、西川をはじめ今季の楽天の攻撃陣にはある程度計算が立つと思います」と見る。

どう封じる?「楽天打線のポイントは西川、浅村、島内」

 ただし、楽天は昨季も前半は何度も首位に立ったが、後半に失速して3位に終わった。最近3年間は、前半で首位争いに絡みながら後半に息切れするパターンが続いている。「選手たちもそれは意識しているはず。今は投打のバランスが非常によく取れていますが、後半それを維持できるかどうか。特に打線の頑張りが鍵になると思います」と指摘する。

 一方、パ・リーグ他球団は楽天の勢いを止めるため、どんな対策を講じるのだろうか。野口氏は「仮に僕がライバル球団の捕手であれば……」と考えを巡らせ、「楽天打線のポイントは、西川、浅村(栄斗内野手)、島内(宏明外野手)。この3人を分断したいと考えるでしょう」。確かに、1番・西川同様、浅村の3番、島内の4番も今季全30試合で不動だ。

「特に1人をマークするとすれば浅村です。西川を塁に出して走られたとしても、浅村を抑えれば点を取られないわけですから」と野口氏。浅村は27打点(リーグ2位)、6本塁打(同2位)、打率.319(同4位)の好調ぶりだが、「各球団とも今季のデータが揃いつつある時期でしょうから、浅村を“丸裸”にして弱点を徹底的に攻めたいところです」と言う。

「マークすべき打者が3人もいれば、誰かにヒットを打たれるのはやむをえない。問題はいかに点につなげないか。浅村にしても、走者のいない場面でヒットを打たれる分には構わないので、状況に応じて対処するべきでしょう」。抜群の勢いを示している楽天と、このまま独走させるわけにはいかない他球団のせめぎ合いが、これからますます激しさを増す。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)