仮に遊撃と投手を兼ねるなら…「故障のリスクも高い」

 プロ4年目を迎えた中日・根尾昂外野手の“投手挑戦”に熱視線が注がれている。8日に甲子園球場で行われたウエスタン・リーグ阪神戦で登板し、最速150キロを計測。大阪桐蔭高時代には投手兼遊撃手、場合によっては外野手も兼ねて春夏連覇に導いただけに、ファンは沸き立っている。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が、その可能性を分析した。

「2番・遊撃」でスタメン出場していた根尾は、9回にマウンドへ上がり、先頭打者をスライダーで三ゴロに仕留めた。次打者にこの日最速の150キロのストレートを左前打されたのを皮切りに、3連打を浴びて1点献上したが、1軍経験豊富な江越から149キロで空振り三振を奪取。打者5人に対し3安打1失点で、再び遊撃のポジションへ戻った。

「まず、可能性を探ることに意義があると思いますし、楽しみです。応援したくなります」と野口氏は言う。「高校時代もコントロールの良さ、スライダーの切れが印象的でした。大阪桐蔭で1番いい投手だったと思います」と振り返る通り、高校の同級生でプロ入りした横川凱投手(巨人)、柿木蓮投手(日本ハム)をしのぐピッチャーだった。

 もちろん課題もある。「ショートと投手を兼ねるとすれば、DH兼投手の大谷翔平(エンゼルス)より体への負担は大きい。故障のリスクも高い。それはたとえ短いイニングのリリーフ専門であったとしても変わりません。打者としての練習の他に、本格的に投手としての練習を始める必要があります」と野口氏は指摘する。

「150キロのストレートを投げているのに、2軍の打者に連打されたのはなぜなのか? 実際に現場では見れていませんが、おそらくキレがなかった。つまり初速に比べて終速が非常に遅かったと考えられます」とも続ける。課題克服に近道はない。「精度を高めるために、ランニングの量を増やすとか、練習する以外にありません」と強調した。

 とはいえ大谷の登場をきっかけに、プロ野球の常識は大きく覆され、塗り替えられつつある。味方のピンチに根尾がショートからマウンドへ上がり、相手打者を打ち取り颯爽と元のポジションへ戻っていく。そんなシーンをぜひ見てみたい。可能性を持っている選手自体、そうそう現れるものではないだろう。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)