ポニーリーグは今年から一部の公式戦で金属バット“禁止”

 中学硬式野球の日本ポニーベースボール協会は今年から、主催する公式戦の一部で使用するバットを木製に限定している。4日から行われた大会でも、エンゼルス・大谷翔平投手やソフトバンク・柳田悠岐外野手らが使う素材のバットを使用。日本の金属バットは木製バットへの対応を遅らせるという指摘もある中、他にも木製に期待されている効果があるという。

 グラウンドでプレーしているのは中学生にもかかわらず、甲高い金属の音は響かない。聞こえてくるのは木製バット特有の乾いた音だけだ。4日から行われた中学硬式野球の大会「広澤克実杯全日本地域対抗選手権大会(江東ライオンズ根津スタジアムなど)」では、使用するバットが木製に限られた。大会を主催した日本ポニーベースボール協会は今年から、一部の公式戦に木製バットを導入している。

 関東選抜で出場し、2安打を放った千葉ジャガーズ・石橋絢斗くんは「捉えた感触は全然なくて難しかったです」と金属バットとの違いに戸惑った。

 日本では小学生から高校生まで一般的に日本製の金属バットを使っている。日本のメーカーは次々に高性能のバットを開発し、打球を遠くに飛ばしたい選手の要望に応えている。一方、「打球が飛びすぎて技術が伸びない」「木製バットへの対応が遅れる」といった指摘もある。

球数減少で怪我予防に期待、金属バットより経済的との指摘も

 ジュニア世代から木製バットを握れば、高校卒業後も硬式野球を続けたい選手にとっては大きなメリットになる。ただ、今大会で使われた木製バットを作った美津和タイガーの古屋政己さんは、別のメリットにも期待している。

「今の自分の立ち位置が理解できるというのは、金属にない利点だと思います」

 ポニーリーグの木製バットは、主にバーチ(樺)を使用している。適度にしなって打感もあり、エンゼルス・大谷翔平投手やソフトバンク・柳田悠岐外野手らも使っている素材だ。古屋さんは「芯で捉えても、なかなか本塁打にはなりません。外野フェンスまでの距離を『プロとの差』として捉えることができると思います。プロと同じものを使用してモチベーションを上げてもらいたいという思いもあります」と語る。

 また、肩や肘の怪我の予防も期待されている。金属バットと比べて打球が飛ばないため、投手はストライクゾーンで勝負して球数を減らしたり、変化球よりも肩や肘への負担が少ない直球の割合を増やしたりする可能性がある。

 一方、保護者が気になるのは費用。プロや社会人の試合で目にするように、木製バットは折れる。時に、1試合で複数のバットを折ってしまう選手もいる。その度に、新しく買わなければならない。4日から開催された中学生の大会で折れたバットの本数は、3試合で2本。1本の価格は1万2000円ほどだという。1本3万円以上する日本製の高反発バットや、輸入コストがかかる米国製の低反発バットと比べ、古屋さんは「木製の方が安く済むのではないか」と考えている。

 打球を遠くに飛ばす楽しみを求めている選手には、高反発の金属バットが適している。だが、上のステージを目指すのあれば、早くから木製バットを使うのも選択肢の1つとなる。(川村虎大 / Kodai Kawamura)