防御率1点台が7人 パ先発投手陣の好調ぶりは尋常ではない

 セ・リーグは16日現在、首位のヤクルトをはじめ広島、巨人、中日の4チームが3ゲーム内にひしめく混戦。来週の24日からセ球団にとって“鬼門”のセパ交流戦へ突入する状況の中、リーグ優勝争いはどんな展開になっていくのか。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏が展望する。

「現状ではヤクルト、広島が安定した戦い方をしている。一時首位を走っていた巨人は、チームの軸である坂本(勇人内野手)と、1番として機能していた吉川(尚輝内野手)が故障で戦列を離れてから負けが込んでいる。2人がいつ万全に近い形で復帰できるかが鍵になると思います」。野口氏はそう分析する。

 24日から始まる交流戦では、例年パ・リーグ球団がセ・リーグ球団を圧倒。過去16年中、14年でパ球団が勝ち越している。ただ昨年はセ球団が通算49勝48敗11分と12年ぶりに勝ち越した。日本シリーズでもヤクルトがオリックスを破り、セ球団が9年ぶりの日本一に輝いたことから、勢力図が逆転したとの見方もあるが、野口氏の見解は違う。「今年はまたパ・リーグが優勢だと思います。各球団の先発投手陣の好調ぶりが顕著です。セ球団にとっては、相手球団1つにつき、1度きりの対戦では攻略することが極めて難しい先発投手が2〜3人いる形です」と指摘するのだ。

 確かに、完全試合を達成したロッテ・佐々木朗をはじめ、今季のパ球団先発投手陣の活躍ぶりは尋常ではない。16日現在、規定投球回数をクリアした上で防御率1点台の投手が、1.17の楽天・田中将を筆頭に、ソフトバンク・千賀、佐々木朗、楽天・早川、西武・高橋光、ロッテ・石川、オリックス・山本と7人に上る。「他にも、ソフトバンク・石川のパワーカーブは、セではお目にかかれない球で打つのが難しいですし、規定投球回数に達していないオリックス・山岡も好調(防御率0.89)です」と野口氏は付け加えた。

2018年の燕はセ最下位→交流戦優勝→リーグ2位でフィニッシュ

 ただ、だからこそ、セ5位に低迷するDeNA、最下位の阪神にとっては、交流戦が大チャンスになりうる。野口氏が1軍バッテリーコーチを務めた2018年のヤクルトが、まさにそうだった。リーグ最下位で突入した交流戦で12勝6敗(勝率.667)をマークし優勝。リーグ順位を一気に2位まで上げた。というのも、この交流戦で勝率5割以上のセ球団はヤクルトのみ。他のセ球団は、8勝10敗で7位の巨人を筆頭に下位に集中した。結局ヤクルトはこのシーズンを2位で終えている。

 もちろんチャンスは全12球団にあるが、交流戦にはこのように同一リーグ内の順位を大きく変動させる可能性がある。「運次第ですが、相手の先発ローテとの巡り合わせで、好調の相手先発投手をスイスイと回避し、優位に戦っていくチームが現れるかもしれません」とも。

 開幕9連敗で大きく出遅れた阪神にとしては、巻き返しへ千載一遇のチャンスと言える。実際、新型コロナウイルス陽性で開幕投手を緊急回避した青柳も、リーグトップの防御率1.09をマークし、同2位の2.11の西勇とともに好調。4番に定着しつつある佐藤輝も9本塁打を量産しており、交流戦で“独り勝ち”を狙える態勢を整えている。「あとはチーム打率がリーグワーストの.229ですから、打線全体で交流戦までにどこまで調子を上げられるか」と野口氏。“ボーナスポイント”ありの戦いが控えている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)