投球フォームに見えた「直した方がいいかなと思った」こと

 オリックスの吉田輝星投手が10日、春季キャンプの第3クールでブルペン投球を行った。現役時代にヤクルト、日本ハムなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は吉田の投球に見えた“悪癖”を指摘した。

 吉田は金足農高時代に甲子園を沸かせ、2018年ドラフト1位で日本ハムに入団。昨年オフに日本ハムから電撃トレードで加入。プロ5年間では64試合に登板し、3勝9敗、防御率6.23の成績だった。プロでは期待されているようなパフォーマンスを発揮できていない状況だが、間近で投球を見守った野口氏は「やっぱりポテンシャルはすごい。タイミングが合って指にかかったボールは素晴らしい。いい球がいっていましたね」と評価した。

 しかし「それだけにもったいない部分もあります」と指摘した部分もあった。直球、変化球を投げ続けているうちに露呈した投球フォームの“異変”だ。

「まっすぐと変化球のピッチングフォームの差というか力感の差がありました。緩いボールを投げるようにと見えて、本当に緩いボールが来てしまう。緩い球ボールがいくような投げ方で速い球がくればいい。あるいは、その逆。どちらかに揃える必要がある。投球フォームの強弱の違いは打者は敏感に悟るから、直した方がいいかなと思いました」

オリックスの投手陣では「少しでも油断するとあっという間に置いていかれる」

 投げる動作に“時間差”がない。打者からすれば投球フォームの勢いに比例する球速の球が来るために対応しやすいというのだ。

「あれだけいいまっすぐを持っているから、まっすぐを中心に投げるスタイルなんだろうけど、さすがに変化球を投げないわけにはいかないんだから。その変化球が、相手に見切られやすかったら意味がない。そのあたりが向上すると、弾ける可能性はあるかな」

 ブルペン投球を横から見た上での感覚として、吉田の直球は「スピードもあるし、手元での強さもある、という感じに見えた。スピードガン表示よりも速いだけでなく、ズドンと来る感じだけでもない。両方をうまくミックスしたようないいまっすぐだよ」と素材の高さは改めて強調した。

 投手王国のオリックスに入団できたことも吉田の成長を後押しする材料になる。「投手の育成に長けたチーム入ってきたわけだから。球界屈指の投手陣の中で揉まれて、良くなって、来年や再来年にブレークしていてもなんら不思議ではないですね」。現時点では中継ぎとしての起用が有力だが、ローテーションの兼ね合いで先発に回る可能性もありそうだ。「中嶋監督が今年、どれほどの戦力として考えているかわからないけど、伸びしろしかないわけだからね」。

 ただし「少しでも油断するとあっという間に置いていかれる投手陣だから。必死になって喰らいつくような感じでないと生き残れないと思います」と警鐘を鳴らすことも忘れなかった。投球フォームの課題を修正し、かつての甲子園のスター投手の才能が一気に爆発すれば、盤石の投手陣はさらに強固なものになる。(湯浅大 / Dai Yuasa)