「ただパワプロをやっているだけではない」―「eBASEBALL」と「プロ野球」の共通点

 11月3日にもう一つのプロ野球、「eBASEBALL プロリーグ」が開幕した。野球ファンなら一度は聞いたことがあるゲーム、「実況パワフルプロ野球」を使用した、日本野球機構(NPB)とコナミデジタルエンタテインメントが共催する「プロ野球 eスポーツリーグ」だ。

 2年目シーズン開幕に当たり今回は、昨シーズンOB解説としてeBASEBALLに携わった真中満氏に突撃取材。今年から新設された「eBASEBALL プロリーグ応援監督」の初代監督となった真中応援監督に同じ「プロ」として、「eBASEBALL プロリーグ」について語ってもらった。

――まずは、eBASEBALLに携わることになり最初に感じていたモチベーションや気持ちを率直に教えてください。

真中さん「モチベーションですか……始まる前はeBASEBALLに対して、正直気持ちがそれほどというか、『どんな感じかな?』と手探りでしたので、『どのようになるのかな?』といった不安や心配はありました。でも、実際に始まると、選手一人ひとりの表情であったり、緊張感であったり、勝敗に一喜一憂している雰囲気といった、実際のプロ野球に非常に近いイメージになりました。『スポーツとして認める認めない』という議論はありますが、eBASEBALLも歴としたスポーツで、それほどのトレーニングも選手はしているし、競技に対する時間も割いているので、一生懸命頑張っている姿は非常に好感を持てる。そんな印象です」

――すごく興味を持たれていますね。

真中さん「応援監督なんでね!」

――選手とお話されたときの違いやお気付きの点はありましたか?

真中さん「まずは(題材がゲームとはいえ)戦っている選手は必死です。周りの方がどのように思われるかはわかりませんが、客観的に見て『ただパワプロをやっているだけではないな』という印象です。パワプロをやり込んで細かい動きであったり、采配面であったり、本当にプロ野球に近い考え方をしています。あとは(真剣勝負が漂わせる)試合会場の重い感じの空気も実際のプロ野球に近いです」

選手のメンタル、特殊能力…「采配面は実際のプロ野球よりも奥深い」

真中さん「一つだけ違うと言えるのは、ゲーム内で起用されている選手のメンタルについてです。(試合で)代えようが代えまいが全くメンタルが変わらないので、采配的には思い切って(選手を)代えたりできるところが大きな点です。実際のプロ野球だったら代えづらいシーンもあるので」

――思い切った采配というと、通常の野球のセオリーでは考えられないような起用もありますが。

真中さん「パワプロには特殊能力がありますからね。例えば、チャンスで強くなるとか、さまざまな能力をみんなが完全に把握していて、それをうまく利用してゲームで選手を起用する。最初見ていると『なんでこんな打順なのかな』と思われる方も多いと思いますが、そこも含めて“戦術”というところは実際のプロ野球より考えられている印象です」

――eBASEBALLならではといった采配はどのようなものでしょうか? 例えば1番打者といったところですが……。

真中さん「逆にどう思う?」

――単に野球のセオリーであれば「先制点を取って試合の主導権を握りたい」ので、「内野安打でもいいから塁に出られる足が速い選手、打てなくても球数を投げさせて今日の調子をリサーチできるような粘れる選手で心理的に揺さぶりたい」と思いますが、eBASEBALLであれば(その辺りの心理戦というよりも)とにかく点を取りたいので1番からミートカーソルの大きい選手を置くとか……。

真中さん「ちょっとまだ素人だね(笑)。例えば、いきなり外国人選手を1番に入れてみるとか」

――その理由とは?

真中さん「1番に“併殺”の特殊能力を持ったバッターを置きたい。(どれだけ能力が高くても)ランナーのいる場面で打たせるとダブルプレーのマイナス能力が発揮してしまうので能力が落ちてしまう。こういうバッターは、走者のいない先頭打者で打たせたい。そこで1番に外国人選手のような『併殺の特殊能力があるが能力の高いバッター』を置くのは効果的です」

――まだまだ素人で勉強不足でした……。逆にプロスポーツとして、そこまで考えていらっしゃるのですね。

真中さん「他には、スタメンで使う方がいい選手と、代打の特殊能力があるので代打で立った方がいい選手もいる。今季は5イニング制で戦うので、投手が2回くらい打席に入るじゃないですか。能力が高い選手でも、スタメンで出さずに代打で取っておいて、投手や捕手のところに代打で出す。そうすると、スタメン出場時よりも能力がアップするわけです。その辺も含めて采配面は実際のプロ野球よりも奥深いし、頭をよく使っているのを強く感じます」

――レギュレーションという部分では、1チーム4人構成になり、そのうちの3人で1試合を戦うようになりました。

真中さん「そこも今季からなので、4人になるとどう影響するかわかりにくいけれども、選手もプロのプレーヤーなので調子の良し悪しがあると思います。僕らにはわからないですが、風邪気味とか指が痛いとか、選手4人の中で感じられる体調とか。さまざまな条件があると思うので、4人にしたことで少し幅ができたとは思います。あとは、出られない選手がアドバイス的なところも含めて、どうチームを回していくかが大事。3人だとカツカツで回さないといけない状況だったので、4人で意見を出し合いながらというところになる」

「スポーツはやっぱり汗をかかなくちゃダメ!」と言う野球ファンにも面白さを伝えたい

――真中満応援監督流のeBASEBALLの盛り上げ方は?

真中さん「状況説明は映像を見てもらえればわかると思うので、選手の特徴だったり、eBASEBALLならではの面白さを伝えていければと思います。『打った、打たない』や『どこに転がった、飛んだ』というところよりも、まさにさっきの打順の話とか特殊能力の話とか『この辺が面白いんですよ』とか『こういう意図があるんですよ』とかをお伝えできればと思います。今年は本当に注目してほしい」

――パーソルパ・リーグTVでも全試合ライブ配信をするのですが、どうしても「パワプロをやったことがない」「eBASEBALLって何?」というファンが多いです。

真中さん「伸びてきているとは思いますし、これは僕らも含めてみんなで宣伝して伸ばしていかないと。若い世代には少しずつ注目してもらえていると感じますが、僕らより上の世代の野球ファン、『スポーツはやっぱり汗をかかなくちゃダメだよ!』と言っているファンのみなさんにも面白さを伝えられればと思っています」

――最後に選手への熱いエールをお願いします。

真中さん「とにかく悔いの残らないように。みんなゲームが終わった後に、悔し泣きをしていたり、大喜びしている選手などさまざまな姿を見てきました。どのスポーツも一緒ですが、本当に悔いが残らないように、頑張ってほしいです」

 2年目を迎える「eBASEBALL プロリーグ」。真中応援監督も語った通り、同じ「プロ」として2つの「プロ野球」には通じるものがある。同時に、eBASEBALLならではの面白さもあり、それをいかに観客へ伝えるか。

 手探りで始まった昨季から試合数は増え、注目度も高まり、盛り上がりを期待させる「eスポーツ」のプロ野球。「現実」と「ゲーム」の垣根を超え、より多くの人から愛されるスポーツへ。新たなシーズンが幕を開ける。(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)