2人が古巣への愛、“本音”を明かす、クロマティ氏「ハラさんが監督に戻ったことで…」

 巨人OBのウォーレン・クロマティ氏と篠塚和典氏の特別対談が実現した。“巨人史上最強助っ人”と呼ばれたクロマティ氏と球史に名を残す巧打者の篠塚氏は7年間、チームメートとしてプレー。今も熱い友情で結ばれている。「Full-Count YouTube」では、対談の様子を公開中。その全容を全3回に渡ってFull-Countで掲載する。

 第1回は「去年の巨人について」。6月からゲストとして巨人“復帰”を果たして若手を打撃指導したクロマティ氏と、解説者として巨人の試合を見てきた篠塚氏。原辰徳監督が復帰して5年ぶりにセ・リーグを制覇しながら、日本シリーズではソフトバンクに4連敗を喫した古巣の戦いぶりをどのように見ていたのか。その口からは巨人への愛、そして、多くの“本音”も飛び出した。

――去年の巨人をどう見ていましたか。

篠塚氏「よくやったというか、故障もありますし、1年通してなかなか全員が満足な形で戦うのは大変な中で、拾わなければいけないゲームをしっかり拾って、活躍する選手も日に日に違って……。そのへんが上手くCSまで行った感じがします。ソフトバンクは強い。これは力の差なので」

クロマティ氏「去年のジャイアンツで、ハラさんはいい仕事をしたと思います。日本シリーズに6年ぶりに導きました。1年間、スガノがプレーできなかった中で、チームは個性を示したと思います。オカモトはシーズン序盤に苦しんでいましたが、シーズン途中から改善しました。日本シリーズはソフトバンクにチーム全体で圧倒されました。ジャイアンツは今、ソフトバンクと対抗するために何が必要なのか理解しました。ソフトバンクはここ5年間で圧倒的な強さを見せています。でも巨人にとって去年は良い年だったと思います。日本シリーズの舞台に戻ることができました。これから巨人はもっと良くなっていかないといけません」

――原監督が戻ってよかったところは?

ク「ハラさんが監督に戻ったことで、チーム全体に安定感をもたらしたと思います。優秀なリーダーシップをチームが取り戻したことになります。リーダーシップ、リスペクト、チームの一員としていいプレーを見せることにつながりました。それがジャイアンツにとって大きかったですね。それがハラさんがジャイアンツにもたらした最も重大な部分。彼はジャイアンツの“顔”でもあります」

篠「スタッフも変わって、ある程度、自分で使いやすいというか、監督になる人はそれが一番やりやすいというのもあります。現役のときから一緒にやっているメンバーですし、監督を慕っているスタッフばかりなので、そういう時は強いですよね。『監督のために』という思いがあってみんなやったと思います。(2015年で1度)原監督が抜けても、その間に一緒にやっていた選手が残っているので、監督がどういう野球をやるかは分かっていました。そのへんが上手く合致して、いい雰囲気でやったと思います」

――去年最も成長した選手は?

ク「私が巨人に加わったのは6月ですから、4〜5か月という期間でした。全ての選手を見ましたが、一番成長した選手は、オカモトだと思います。彼は成長しました。自分が“センセイ”として直接指導したから良いと言っているわけではありません。もちろんそれもありますよ。私が“センセイ”で彼を指導したから。バッティングとメンタルの部分で成長しました。これまでになかった部分です。5か月間……私は彼が成長していくのを5か月間、見てきました。新しい打撃スタイルの習得に集中しました。だから、今季一番成長したのはオカモトでしょう」

篠「成長というよりも、他の若い選手は安定して出ている選手もいなかったですし、一昨年あれだけの数字を残した岡本が去年どれくらいの数字を残すかという中での1年間の彼のバッティングを見てみると、数字的には(打)率がちょっと下がってますけど、全体的には成長した姿は十分に映っています。(クロマティ氏に向かって)クロはいつから巨人に入った? 6月? 彼が来てから本当に岡本は変わりました。彼の指導というものがちょっと雰囲気を変えてくれて、本人も、意外と無口で表情を出さない選手なのですが、そのへんをクロマティが表情を出しながら楽しく彼の言っていることを素直に受け入れたのがよかったのではないでしょうか」

引退した阿部の役割を果たすのは? 「坂本がそういうものをやってほしい」

――岡本の素晴らしいところは?

篠「まだまだですよね。ジャイアンツの4番を打っていくには、ここという時に(打ってほしい)というのもありますし(メンバーから)外されないような信頼度(も必要)。チームメート(から)もそうですし、スタッフ(から)もそうですし。(4番から)外すということは監督が決めるときもありますし、コーチと決めるときもありますが、コーチが反対するくらいのものはまだまだないというところもあります。今年もしっかり見ていきながら、ジャイアンツの4番としてやっていけるかについては……よく言われるのは『成績を3年間続けていくと本人の安定感も分かってくる』ということです。どうしても他のチームの4番を打つのとはちょっと違うので。143試合をしっかり任せられるような土台をしっかり作ってほしいですね」

ク「彼は本当に努力しました。彼のフットワークは素晴らしい。敏捷性です。あの体格にしては非常に素早く動けます。彼は23歳とまだ若い。今年24歳になりますが、彼は成長を求めています。よく会話をするのですが、大リーグについて聞いてきたりします。彼は大リーグが好きなので。いかにメンタル的に集中するかについても話しました。若手にとって、とても大事なことです。オカモトさんはNPBでトップ5のパワーヒッターでしょう。しかも、まだ若い。波がないことが大事。どんな時でも安定性です」

――なかなか固定できない巨人の二塁はどうしたらいいか?

ク「タナカはセカンドでいい仕事をしていたと思いますよ。巨人はサードに空きがあります。私個人の意見ですが、オカモトさんはファーストで見てみたい。ジャイアンツはサードを探すのか。キャッチャーのポジションではもっと生産性を求めていきたいです。センターはオッケー。ライトも大丈夫。カメさん、マルさん。ショートはサカモトさんでオッケー。しばらくの間は安泰です。セカンドも手を打つのかもしれませんが、控え選手の強化も必要です。強力なベンチには、スピードの持ち主、左の代打、右打ちも欲しい。なぜなら、ソフトバンクはベンチもとても強力でした。英語で“depth(選手層の厚さ)”と言うのですが、ジャイアンツには厚い選手層という部分も求められると思います」

篠「(去年は)しっかりレギュラーとしてやっているのが、丸、坂本、岡本の3人だけでした。原監督の場合はいい(状態の)選手を使っていきます。固定してできる選手がいないからそうなってしまうのでしょうが、実際のところ期待に応えられる選手がいない。二塁もそうですし、岡本が一塁に行ったら三塁がいないですし、左翼は誰が守るのか。右翼の亀井にしても、しっかり後釜を考えないといけない。まだまだジャイアンツにはやることはたくさんあります。ピッチャーもそうですね。マシソンもいなくなってしまった。菅野も怪我を今年味わってしまったので、来年また戻れるかも心配です」

ク「どこもピッチャーを必要としています。巨人も。今年はスガノが故障で戦線を離脱しました。ブルペンがジャイアンツを牽引してくれました。先発投手に少し問題があった。どのチームもピッチャーは欲しいところです。今年、巨人はドラフトで即戦力の投手を1位で獲れなかった。ノーラッキーね」

――マシソン、阿部が引退して迎える2020年、重要なことは?

ク「アベさんはジャイアンツ在籍19年間。リーダーシップという部分ではアベさんを恋しく思うのではないでしょうか。若い選手はアベさんをリスペクトしています。アベさんの存在が、若手選手に緊張感を与えた。それはチームにとっていいことです。なぜなら彼の求めるものは集中力だからです。いつの日か、アベさんはすごくいい監督になると思いますよ。

 スコット(マシソン)は8年間も助っ人としてジャイアンツでプレーしました。私は7年間、彼は8年間です。それはチームメートとして素晴らしいということです。それが一番大事なことです。巨人にうまく溶け込むために、非常に重要な要素です。ジャイアンツのフロントは、次の外国人選手を探す際には自分とスコットに意見を求めてもいいかもしれませんね。我々は細かいことも理解しているので、外国人選手と話す際、そういったことも確認できる。外国人選手には日本のやり方を理解できるか、日本流でプレーできるのか、チームプレーをできるのか。日本流に切り替えられる選手かをジャイアンツが見極めるために、我々なら手助けができます」

篠「自分もコーチやっている時に、外国人選手になかなか本当に我々が思っていることが通じないことがありました。(過去に)一緒に戦った経験がある外国人選手がコーチとしていれば、外国人選手にとってはものすごくプラスになります。ジャイアンツは外国人選手をもっと獲ってくると思いますので、そういう意味ではクロみたいなコーチ、アドバイザー、こういう人材は確かに必要だと思います。阿部に関しては、彼に代わる選手は今のジャイアンツの中で誰かといったら、坂本くらいしかいない。坂本は意外と若い選手に怖いところもあります。阿部はズバッと言うので、若い選手はちょっとビビっていました。そのくらいしないと緊張感は出ません。ゲーム中でも、阿部は最近はベンチにいる機会が多かったので、意外とベンチの中はピリピリしていたと思います。そういう選手がいなくなるのはマイナス分もあるかなと。代わりとして、坂本がそういうものをやってほしいなと思いますね」

【続く】(Full-Count編集部)