「奈良スポーツ育成選手を守る会」事務局長の和田哲宏さんが意義を語った

 NPO法人「奈良スポーツ育成選手を守る会」は、2月23日に橿原市内の「ジェイテクトアリーナ奈良」で、第10回奈良スポーツ検診を開催する。この検診はこれまでは野球選手が中心で、一部サッカー選手らも受診していたが、今回は多ジャンルの選手が参加することとなった。

 NPO法人「奈良スポーツ育成選手を守る会」事務局長として、この取り組みを推進してきた理学療法士の和田哲宏さんは語る。

「奈良県は野球が盛んな土地ですが、スポーツ障害に特化した病院、理学療法士がいてリハビリ指導をするクリニックのようなものが少なかったのです。それもあって、私は、前に勤務していた病院でスポーツリハビリテーションを始めました。でも、そのときに痛感したのは、保護者や監督、指導者のスポーツ障害に対する知識が乏しいことです。子供がスポーツで怪我をするメカニズムも、その予防法もよくわかっていない。そこで病院主催で選手の健康管理に関する講演会も始めました。こうした経緯から、年に1回、スポーツ少年を集めて検診を行うとともに、講演会で啓発活動を行うようなスポーツ検診イベントが必要だと考えるようになりました。『検診+講演会』というスタイルです」

 今回で10回目。次第に事業の規模は大きくなっている。

「第1回は92人の参加でしたが、2回目以降は受診者が増加しています。ドクターや理学療法士はボランティアでお願いしていますが、規模が大きくなると、人数も増えますし、超音波エコー診断装置の台数も揃えなくてはいけません。奈良県は理学療法士の数が少ないので他府県からも来てもらっています。だから県内外の企業さんにお声掛けをし、スポンサーを募集したり、協賛金を集めたりしています。私たちも仕事を持っていますから、毎年、この活動は大変です。しかし、少しずつ理解してくださる企業や人は増えています」

 受診は原則として任意。県内のスポーツチーム、団体に呼び掛けて参加を促している。

「野球の場合、検診を受けると怪我を見つけられる。見つけられると野球ができなくなるので困るという指導者さんが多いのも事実です。来る人と来ない人に分かれてきましたね。だからこそ、講演会による啓発活動も必要なのです。ただ、昨今は『球数制限』の議論も行われていますし、親や指導者さんの意識が変わってきています。指導者さんも知識不足で子供を怪我させると責任を問われ、訴訟につながりかねません。そういうことも浸透し、いい意味で身構える人が増えて、参加者は増えています。監督さんも若返って、意識が高い人が増えました」

検診には20人超の医師ら140名のスタッフが参加する

 今回の奈良スポーツ検診は、数多くの競技選手を検診する。それだけにスタッフや機器も多くなる。

「普段は本業である各医療機関や教育機関などで働くスタッフがこの日のために集まります。参加するスタッフは約140名。医師は20人を超え、理学療法士は約60名、臨床検査技師やアスレティックトレーナー、医療事務員さんや現役アスリートの学生さん、日本代表チームの現役ドクターや東京オリンピックで医療サポートの中心となるスタッフ、オリンピックメダリストの治療をしたスタッフや元甲子園出場選手、高齢者を対象とした訪問リハビリのスタッフまで。また、この事業に県内の体育協会や軟式野球連盟、各種競技団体、医療機関、機材や物品を提供頂ける企業などにもご協力をいただいています。志を同じくするスタッフが業種、職種、職場の垣根を超えて連携しての実施となるスポーツ検診です。また、講演会も今回は、サッカー界でご活躍されているスポーツドクターが来られる予定です。1人でも多くのスポーツ少年や指導者さんに参加してほしいですね」(広尾晃 / Koh Hiroo)