外崎は昨季、打率.274、26本塁打、90打点、14犠打、22盗塁をマーク

 野球において、野手を評価する際には打率、安打、盗塁、本塁打など多くの指標が用いられる。打率が高い選手や多くの安打を放った選手は「打撃がうまい」という評価を受け、盗塁数が多い選手は「足が速い」、本塁打を量産すれば「パワーがある」と評されることだろう。

 一方で、多岐に渡る指標の中で、複数の項目について秀でた成績を残すことは難しい。打率・本塁打・盗塁、の3項目でそれぞれ基準をクリアしなくてはいけない「トリプルスリー」の達成者が、長いプロ野球史の中で10人しかいないことからもそれが分かる。

 そんな中、2019年のパ・リーグには本塁打、打点、犠打、盗塁という4つの異なる項目でベスト10入りした選手がいた。西武の外崎修汰内野手だ。字面だけを見ると、それほど特筆すべきことでもないように思えるが、各項目の上位選手と比較すると、そのすごさを知ることができる。まずは、2019年シーズンの外崎の成績を見てみよう。なお、各成績のカッコ内には、それぞれのリーグ順位を記載している。

【外崎修汰】
打率.274(14位)、26本塁打(10位)、90打点(6位)、14犠打(6位)、22盗塁(6位)

 安打、本塁打、打点といった打撃成績でキャリアハイを達成するとともに、3年連続20盗塁を達成し、打って走っての活躍でチームのリーグ優勝に貢献。さらに、浅村栄斗内野手(楽天)の移籍に伴ってコンバートされた二塁では、ゴールデングラブ賞獲得とはならなかったものの、パ・リーグの二塁手ではトップとなる456個の補殺を記録。1年を通して二塁を守り抜き、守備面でも顕著な成績を残した。

 このように走攻守に渡って活躍した2019年シーズンの外崎だが、カッコ内に示した数字からも分かるように、どの成績でもリーグ屈指の記録を残していることがわかる。これらの成績がどれほどのものなのか、以下では各成績についてリーグ上位の選手と比較しながら確認していきたいと思う。それぞれの成績で15位までの成績を残した選手について、今回比較する4項目を比べていく。

【本塁打】
1位:山川穂高(西武):43本塁打 120打点 0犠打 1盗塁
2位:デスパイネ(ソフトバンク):36本塁打 88打点 0犠打 0盗塁
3位:浅村栄斗(楽天):33本塁打 92打点 0盗塁 1盗塁
3位:ブラッシュ(楽天):33本塁打 95打点 0犠打 2盗塁
5位:レアード(ロッテ):32本塁打 89打点 0犠打 0盗塁
6位:中村剛也(西武):30本塁打 123打点 0犠打 2盗塁
6位:松田宣浩(ソフトバンク):30本塁打 76打点 2犠打 0盗塁
8位:吉田正尚(オリックス):29本塁打 85打点 0犠打 5盗塁
9位:グラシアル(ソフトバンク):28本塁打 68打点 4犠打 4盗塁
10位:外崎修汰(西武):26本塁打 90打点 14犠打 22盗塁

 2年連続本塁打王に輝いた西武・山川穂高内野手を筆頭に、ソフトバンク・デスパイネ外野手や楽天・ブラッシュ外野手らの外国人選手を含む強打者が名を連ねている。外崎はリーグ10位となる26本塁打を記録。前年の18本から大きく数字を伸ばし、自身初となる20本塁打超えを果たした。

 各チームでクリーンアップを任された選手が多いだけに、打点では15名中6位となったが、犠打と盗塁ではともに1位に輝いた。特に犠打は2位のソフトバンク・グラシアルを大きく引き離す14個を記録しており、外崎がさまざまな役割を担っていたことをうかがい知るポイントとなっている。

 盗塁に関しても、今季は2015年にトリプルスリーを達成したソフトバンク・柳田悠岐外野手が故障離脱していたこともあり、同僚の2位・秋山翔吾外野手(レッズ)に10個の差をつけてトップに立った(秋山は20本塁打、12盗塁)。20本以上の本塁打を放ちながら、10犠打、20盗塁を記録した外崎の成績は、出色のものだったと言えそうだ。

【打点】
1位:中村剛也(西武):123打点 30本塁打 0犠打 2盗塁
2位:山川穂高(西武):120打点 43本塁打 0犠打 1盗塁
3位:森友哉(西武):105打点 23本塁打 1犠打 3盗塁
4位:ブラッシュ(楽天):95打点 33本塁打 0犠打 2盗塁
5位:浅村栄斗(楽天):92打点 33本塁打 0犠打 1盗塁
6位:外崎修汰(西武):90打点 26本塁打 14犠打 22盗塁
7位:レアード(ロッテ):89打点 32本塁打 0犠打 0盗塁
8位:デスパイネ(ソフトバンク):88打点 36本塁打 0犠打 0盗塁
9位:吉田正尚(オリックス):85打点 29本塁打 0犠打 5盗塁
10位:中田翔(日本ハム):80打点 24本塁打 0犠打 0盗塁

 打点についても同様で、パワーヒッターが並ぶ中、外崎はリーグ6位の90打点を叩き出すと同時に14犠打、22盗塁を記録。並みいる強打者が立ち並ぶランキングの中で、異色とも言える存在感を放っている。

2009年以降でパの「20本塁打・20盗塁」は柳田、陽岱鋼、松田宣、中島、外崎の5選手

【犠打】
1位:源田壮亮(西武):25犠打 2本塁打 41打点 30盗塁
2位:若月健矢(オリックス):25犠打 1本塁打 21打点 2盗塁
3位:甲斐拓也(ソフトバンク):23犠打 11本塁打 43打点 9盗塁
4位:福田周平(オリックス):19犠打 2本塁打 38打点 30盗塁
5位:木村文紀(西武):15犠打 10本塁打 38打点 16盗塁
6位:外崎修汰(西武):14犠打 26本塁打 90打点 22盗塁
7位:鈴木大地(ロッテ):13犠打 15本塁打 68打点 3盗塁
8位:石井一成(日本ハム):13犠打 4本塁打 22打点 2盗塁
9位:田村龍弘(ロッテ):12犠打 3本塁打 31打点 1盗塁
10位:牧原大成(ソフトバンク):12犠打 3本塁打 27打点 10盗塁

 犠打ランキングでは、前出の本塁打・打点のランキングとは全く異なる顔ぶれが並んだ。オリックス・若月健矢捕手やソフトバンク・甲斐拓也捕手のように下位打線に座った選手が多いこともあり、本塁打数や打点といった数字はそれほど目立ったものにはなっていない。

 そんな中、外崎は頭1つ抜けた26本塁打、90打点を記録。それぞれ2位の記録が鈴木大地内野手の15本塁打、68打点と決して低いものではないにも関わらず、それを優に上回る成績を残している。走塁面でも、同僚の源田壮亮内野手、そしてオリックス・福田周平内野手、ソフトバンク・周東佑京内野手に次ぐ22盗塁を稼ぎ、快足ぶりを示した。

【盗塁】
1位:金子侑司(西武):41盗塁 3本塁打 33打点 6犠打
2位:源田壮亮(西武):30盗塁 2本塁打 41打点 25犠打
2位:福田周平(オリックス):30盗塁 2本塁打 38打点 19犠打
4位:荻野貴司(ロッテ):28盗塁 10本塁打 46打点 9犠打
5位:周東佑京(ソフトバンク):25盗塁 1本塁打 6打点 10犠打
6位:外崎修汰(西武):22盗塁 26本塁打 90打点 14犠打
7位:西川遥輝(日本ハム):19盗塁 5本塁打 41打点 8犠打
8位:木村文紀(西武):16盗塁 10本塁打 38打点 15犠打
9位:辰己涼介(楽天):13盗塁 4本塁打 25打点 10犠打
9位:岡大海(ロッテ):13盗塁 6本塁打 16打点 3犠打

 盗塁数の上位にあっても、外崎が残した26本塁打、90打点という成績は圧倒的なものとなっている。こちらはともに秋山翔吾の20本塁打、62打点が2位となっているが、ともに頭1つ抜けた記録で上回った。本塁打、打点と比べて盗塁数との相関が感じられる犠打に関しても、源田、福田、そして西武・木村文紀に次ぐ4位と、ここでも多くの項目で上位に食い込む外崎の成績の特異さが明らかになった。

 ここまで見てきたように、2019年に外崎の残した記録は、「打撃に秀でた選手の中でも特筆した走塁・犠打での貢献」を見せており、反面では「走塁、犠打での貢献が顕著な選手の中で出色の打撃成績」であると言える。そしてこの成績は、パ・リーグの過去10年を振り返っても特異なものだった。

 2009〜2018年のパ・リーグにおいて、1シーズンで「20本塁打・20盗塁」を達成した選手は、柳田悠岐外野手(2015、2018年)、陽岱鋼外野手(現巨人、2014年)、松田宣浩内野手(2011年)、中島宏之内野手(現巨人、2009年)の4人しかおらず、外崎は、この並みいる顔ぶれと肩を並べることとなった。加えて、この4選手でも犠打の最多は2014年、陽岱鋼の記録した9個で、2桁犠打を記録した選手はいない。ゆえに、外崎は「20本塁打・20盗塁・10犠打」という、球史に残る珍しい記録を達成したと言うことができる。

 各項目それぞれの順位では、外崎の成績は「良い」ものではあってもなかなか目立たない。しかし、このように視点を変えて振り返ると、その成績は球史に輝くほどの貢献度であることが明らかになった。本塁打、打点、犠打、盗塁、そして守備と、それぞれ求められる能力の異なるプレーで高い存在感を示した外崎は、「令和のファイブツールプレーヤー」といって差支えないのではなかろうか。2020年もその活躍が楽しみだ。(「パ・リーグ インサイト」成田康史)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)