明大の先輩・鹿取義隆氏はカーブに太鼓判「現役では岸、小川くらい」

 10日の広島の宮崎・日南キャンプには、宮崎県内で他球団が休日だったこともあり、評論家諸氏が大挙して押しかけた。そこで注目を浴びたのが、ドラフト1位ルーキーの森下暢仁投手(明大)である。

 大学ナンバーワンの評価を受けていた即戦力右腕は、ブルペンで捕手を座らせ75球。侍ジャパンテクニカルディレクターで、森下にとって明大の先輩にあたる鹿取義隆氏も見守っていた。ちょうど1年前の昨年2月、全日本大学野球連盟に所属する大学生を対象に巨人OBが指導を行う「冬季特別トレーニング」(川崎市のジャイアンツ球場)に森下が参加し、鹿取氏の教えを受けた縁もある。

 鹿取氏は「当時に比べて、スタミナが増した印象」と目を細め、プロの世界では森下独特の縦に割れるカーブが武器になるとみる。「リリースの瞬間にふわっと浮き上がって打者の視線を上げるような、よくあるカーブとは違う。球速があり、スピンが効いて打者の手元で落ちるイメージ。いま、プロでああいうカーブを投げるのは、楽天の岸、ヤクルトの小川くらいではないか。昔は江川卓さん(元巨人)、渡辺久信(現西武GM)、工藤公康(現ソフトバンク監督)もそういうカーブを投げていた」と説明した。

 かつての広島の守護神で、1979年日本シリーズ第7戦の「江夏の21球」をはじめ数々の伝説を残した江夏豊氏も「森下君のカーブは、特殊なカーブ」と指摘。「ボールを見る限り、十分即戦力。昨季にリーグ4連覇を逃して巻き返しを期すチームの勢いにうまく乗れれば、先発ローテに入るだろうし、1年間ローテを守れば、おのずと2桁勝利。2桁勝利を挙げれば、新人王も有望だろう」とうなずいた。

 ただし、「プロの世界で生き抜いていくには、性格的な面が重要。向こう見ず過ぎても、逆に気弱過ぎてもいけない。切り替えの早さは間違いなく必要。そのあたりがどうか」と指摘。その上で、「広島には大瀬良大地という、12球団一のエースがいるから、競い合いながら本物のエースに育ってほしいね」とエールを送った。江夏氏は、昨季両リーグを通じて断トツの6完投を記録した大瀬良のタフネス、責任感を高く評価しているのだ。

「本物のエース? そうなれるように頑張ります」と森下。この日は、前中日監督の森繁和氏、元広島監督の達川光男氏、広島OBの大野豊氏、ベイスターズOBの野村弘樹氏、中日OBで首位打者2度の谷沢健一氏、昨季限りで現役を引退した日本ハム田中賢介スペシャルアドバイザーも日南を訪れ、一様にこの新人に熱い視線を送っていた。

 もともと球団は、草創期のエースの長谷川良平、現監督の佐々岡真司、前田健太らがつけた背番号「18」を、前田のメジャー移籍以来5年ぶりに復活させたことからも、並々ならぬ期待をかけていることがわかる。V奪回の使者となれるか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)