開幕前倒し、オープン戦無観客に続き…「佐賀で試合するときはいつも雨」

 リーグ3連覇がかかる西武は29日、今季初のオープン戦となるDeNA戦(佐賀)に臨むはずだったが雨天中止となった。ナインは急遽、佐賀県嬉野市の嬉野総合運動公園内にある「みゆきドーム」で練習した。

 本来試合が行われるはずだった「みどりの森県営球場」(佐賀市)からは車で約50分。翌3月1日DeNA戦が行われる長崎市とのちょうど中間地点付近にあたる。「ドーム」といっても、西武の本拠地メットライフドームと同様、数本の柱で屋根を支える構造で、吹き抜けだけに寒さはしのげない。ランニング、ストレッチ、ティー打撃などで軽く汗を流すだけにとどめた。

 佐賀は、辻発彦監督の出身地である。指揮官は「雨天中止になったから残念、ではなく、無観客試合になった時点で知り合いはみんながっかりしていたよ」とうなだれた。「佐賀で試合するときはいつも雨。一昨年なんて試合終盤、酷いコンディションだった」とボヤく。佐賀でのオープン戦は3年連続だが、一昨年と昨年は試合こそ行われたものの雨に見舞われている。「ということは、今年も優勝できる、と思うしかないよ」と苦笑した。

 もともと今年のプロ野球は、東京五輪開催の影響で開幕が例年より10日ほど前倒しされ、オープン戦の数が少ない。さらに無観客試合となって緊張感の維持が難しくなり、「その上、雨で流れてはね…」(西口投手コーチ)と首脳陣は頭を抱える。レギュラークラスの調整や、1、2軍ボーダーライン上の選手の評価に支障をきたしかねない状況だ。

 ちなみに、県立佐賀東高に入学した当時の辻監督は、身長160センチそこそこ。プロ野球選手、名監督になるとは誰も予想できなかった。高校3年間で約20センチ伸び、さらにテストを受けて入社した日本通運(埼玉)で7年間も研鑽を積み、プロ入りのチャンスをつかんだ。「日本通運さんは、たまたま採用枠が空いて、『あの、おじいちゃんと一緒に来てた子でいいよ』となったと聞いた。テストのとき、父が仕事で来られなくて、祖父が付き添ってくれたんだよ。あれがなかったら、私はゼロ。プロ野球選手にも、ましてや監督にもなれなかった」と振り返るだけに、故郷・佐賀に錦を飾るときの思いはひとしおだ。

 過去2年、雨の中でオープン戦を行って2連覇、ただし、いずれもクライマックスシリーズで敗れて日本シリーズ進出を逃しているから、中止になった今年は日本一になれるかも……。「そうだね、そうやってプラスにとらえるしかない」。ようやく辻監督の表情がほころんだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)