吉井コーチ「当初は体力がないからどうだこうだと言われてましたが…」

 ロッテのドラフト1位ルーキー・佐々木朗希投手が、入団前のいくつかの懸念を払拭しつつある。27日にプロ入り後2度目の打撃投手を務め、初めて打者相手に変化球を解禁。安田、山口に対して計40球を投じた。

 実戦デビューにまた一歩近づいた右腕に、吉井理人投手コーチは「当初は体力がないからどうだこうだと言われてましたが、思ったより体は頑丈。ウチのコンディショニングコーチもしっかりやってくれているんで、体が強くなってきているのも確か」と目を細めた。

 今さら言うまでもなく、佐々木朗は大船渡高3年の昨夏、岩手大会決勝の登板を回避して物議を醸した。同校の國保陽平監督は「故障を防ぐために私が判断した。今日の試合が1番壊れる可能性が高いと思った」と明かしたが、佐々木朗の体力を懸念する声や「怪我をしやすい体質ではないか」との“疑念”が広がった。

 日の丸を背負って臨んだ昨年の「U-18ワールドカップ」では9月6日の「スーパラウンド第2戦」韓国戦に先発。初回は評判通りの豪速球を披露し、無安打1奪三振1四球無失点に抑えたが、右手中指のマメが悪化し、結局1イニング限りでマウンドを降りた。昨年4月の高校日本代表候補合宿の紅白戦で163キロを計測して一躍名を上げた“令和の怪物”は、甲子園出場を逃したのに続き、国際大会でも実力を発揮しきれずに終わり、大舞台での経験のなさを差し引いて評価するプロのスカウトも現れた。

 だが、ここにきて佐々木朗は“実戦派”であるところも見せ始めている。吉井コーチは「これだけ注目されて、何も感じていないかのようにしっかり投げられるのは凄い」と舌を巻く。

 さらに、佐々木朗は自身のスライダーについて「ストライクゾーンに投げる球と、ボール(になる)球を投げ分けられる」と明かした。この日はあらかじめ球種を打者に伝えてから投げたためボールになるスライダーを振らせることはできなかったが、4月3日に予定される実戦形式のシート打撃登板では「もっと実戦的にバッターの反応が見られると思います」とうなずいた。

 こうしたコメントの端々に、技術に裏打ちされたクレバーさがうかがえる。決して球速や身体能力だけの投手ではない。まだプロの実戦では1球も投げていないが、段階を追うごとに、見る側の楽しみが増していく投手だ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)