1年前の“ある騒動”は確信犯だった?

 各球団でキャンプインを前に合同自主トレが始まっている。自主トレといえば、中日では1年前にある騒動があったことを覚えてる方も多いのではないだろうか。

 昨年1月7日。ナゴヤ球場を訪れていた落合博満GMが、自主トレで打撃練習中の松井佑介外野手の下に歩み寄ると、身ぶり手ぶりを交えて1時間以上の指導を行った。

 問題となったのは時期だ。野球協約第173条には『球団又は選手は、毎年12月1日から翌年1月31日までの期間においては、いかなる野球試合又は合同練習あるいは野球指導も行うことはできない』と定められている。

 12月1日からの2か月間は、選手にとっては契約期間外。球団による練習参加の強制などを防ぎ、選手の権利を守るというのが狙いだが、これに抵触したのではないかと物議を醸した。

 ただ、監督時代にはキャンプの視察に訪れたコミッショナーに不明瞭な点を指摘するなど、選手出身者で落合GMほど野球協約を読み込んでいる人物もそうはいない。当時報道された発言を見ても、条文を理解した上での確信犯であったことは明らかだった。

1年が経った今もグレーゾーンのまま

 たとえオフだとしても、選手は2か月間何もしないわけではない。体を休めると同時に、長いシーズンを戦うための準備はその時から始まっている。

 技術向上を目指して指導を希望する選手にとっては、成長する機会が損なわれる点。そして『球団』には監督・コーチだけでなく、GMのようなフロントの人間は含まれるのか。制度の存在意義や定義の曖昧さ。第173条のあり方について疑問を投げかける行動だったはずだ。

 当時、球団から報告を受けたNPBの熊崎コミッショナーは「球界の実情に合うにはどうしたらいいか」と発言。条文を見直す可能性にも触れていたが、直後の12球団実行委員会では他球団から疑問の声も上がらず、不問に付された。その後は、メディアの話題にも上らなくなった。

 落合GMが取った行動の意図を想像すれば、1年が経った今でも真剣な議論がされず、グレーゾーンのままであることに決して納得はしていないだろう。再び同じ行為に出るとは思わないが、また別のルールに対し、異なる角度からアクションを起こしてくる可能性は高い。落合GMの球界の常識への“挑戦”。今年も次なる一手に注目したい。