「彼はミーティングを始め、自身の決断、彼にとっての僕たちの存在、野球の存在について語った」

 昨年3月21日、東京ドームで行われたアスレチックス戦で現役を引退したマリナーズのイチロー氏。生まれ育った日本での開幕戦で現役生活に幕を下ろすことになった、その引退試合は感動的なものとなり、今も忘れられないものになっている。

 MLB公式サイトは8日(日本時間9日)にイチロー氏が引退したアスレチックス戦を放送。これを見たマリナーズのブレンデン・ビショップ外野手が、この引退試合の舞台裏を明かしている。

「昨年の日本でのイチローの引退試合が今放送されている」と自身のツイッターで書き出したビショップ。「MLBでの彼の最後の夜がどのようなものだったのか話したい」と続けると、3月21日のアスレチックス戦を回顧した。

 チームメートにも現役引退を伝えていなかったイチロー氏。ビショップは「彼は公に引退の決断を表明していなかったけど、僕たちは感じていた」と綴り、選手たちもイチローがこの試合で現役を退くことを感じ取っていたと明かす。「9番・右翼」で出場したイチロー氏。8回、一度は守備に就きながらも、交代を告げられ、万雷の拍手の中でベンチへと退き、そして現役最後の瞬間を迎えた。

 試合が終わると、ベンチ裏のサロンでイチロー氏はチームメートらに引退を告げた。ビショップはこの時を振り返り「試合が終了し、イチはまだユニホーム姿のままだった(いつものイチだ)。僕たちはクラブハウス近くのカフェテリアに集まった。チームとイチだけで。彼はミーティングを始め、自身の決断、彼にとっての僕たちの存在、野球の存在について語った。僕たちは皆、感情的になっていた。僕たち全員にとって、彼はスーパーヒーローだった。それから、彼はメディアと世界に決断を発表しに行った」と記した。

 試合後、スタンドのファンは帰ることなく、イチロー氏の名前を呼んでいた。チームメートに引退を告げたイチロー氏がグラウンドへ飛び出すと大歓声が迎えた。その時のこともビショップは振り返っている。「ロッカールームに戻って帰宅する準備をしていた時、試合終了から45分経過しても3万5000人の観客がイチのカーテンコールを待っているから、フィールドに戻るべきだと数人の選手が大声で言い始めた。信じられなかった。歴史的な出来事を目撃し、それがもう2度とないことだと思いながら、僕たちはフィールドで彼を見ていた。電話を持っていてラッキーだった。これが撮影できたからね」と綴ると、その時に撮影した3本の動画も公開している。

 イチロー氏がファンの大声援に両手を挙げて応えている3本目の動画に「レジェンドにお別れ。クーパーズタウンが待っている! チームメートと友人になってくれてありがとう、イチ」と添えたビショップ。引退から1年が経っても、イチロー氏の存在はチームメートたちの心に深く刻まれているようだ。(Full-Count編集部)