好投の呼び水になったこととは? 「今日はだいぶ良かった」

 ようやく“らしい”投球が戻ってきた。ソフトバンクの武田翔太投手。22日のロッテ戦(ヤフオクD)で先発すると、6回1安打無失点の好投で2-0の勝利に貢献した。右肩炎症でチームを離れ、復帰後も本調子と言えない投球が続いていた右腕に復調の兆しが見えた。

 右足が攣ったために、79球、6回を投げ抜いたところで降板となった。それでも、そこまではロッテ打線を手玉に取った。ストレートは140キロ台中盤。持ち味のカーブ、スライダーもしっかりと使え、8個の三振も奪った。「久々に体が使えた。今日はだいぶ良かったですね」と本人の口からも、手応えがにじみ出た。

 不振が続いていた武田。何が、好投の呼び水となったのか。

 武田自身が振り返る。「下半身の動きに関しては出来ていたんですけど、上半身の動きが出てこなかった。怪我のせいなのか、怖さが抜けていないのかというところで。客観的に見たときに、力が入っているなと。痛かったときは、痛くないように余計な力が入っていた。治っても、それがクセとして、無意識に力が入っていた」。右肩の炎症を抱えながら、投げていた際に、身についてしまったクセ。それが、なかなか抜けなかった。

如実に変化があらわれたグラブの位置

 ヒントがあったのは、ある日の練習中。遠投をしている最中だった。「体に力が入っていると、遠くには投げられないんです」。自らのフォームに、無意識の力みがあることに気付いた。「やる気のない感じになるけど、そのために腕の位置も下げました。強制的に体に力が入らないようにした」。

 如実に変化があらわれたのは、ノーワインドアップの時のグラブの位置だ。モーションに入る時、これまでは胸の前やお腹の前に据えていたグラブの位置が、この日は下腹部辺りまで下げられていた。腕や体から「強制的に」脱力させるために、辿り着いたのが、この形だった。

 6回を、わずか1安打。この日の武田の投球には、明るい兆しを感じさせた。白星は今季初登板だった4月5日の楽天戦(Koboパーク)以来、実に108日ぶりで、ようやく今季2勝目をあげた。「たくさん迷惑をかけたので」。勝負の後半戦。約2か月半、戦列を離れた右腕が、これまでの遅れを取り返す態勢を整えた。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)