昨年末に選ばれた大阪府選抜チーム、ハイレベルな選手と過ごせた貴重な時間

 第99回高校野球選手権大阪大会4回戦、注目の公立対決は、強力打線を擁する大冠が、北野の好左腕・牧野斗威を攻略し、8-2でベスト16入りを果たした。自慢の打線が序盤から爆発し、終始主導権を握った大冠のしたたかな攻撃力が目を引いた。

 どんな状況に陥っても、何一つ表情を変えず黙々と投げ続けた。橋下徹前知事など多くの著名人を輩出している大阪府下屈指の進学校・北野高。そのマウンドに立った牧野は、ゲームセット後も穏やかな表情で整列に加わった。「ピンチになっても、みんなが声を掛けてくれて…。今日は調子があまり良くなかったですけれど、ここまで投げられたのはみんなのお陰ですし、仲間がいたからここまで成長できたと思います」と振り返った。

 昨秋の府大会でベスト8入りし、キレのあるスライダーを武器とした牧野のピッチングは日に日に評判になっていった。準々決勝では大阪桐蔭に完敗したものの、並み入る強打者を苦しめた投球術に注目度はさらに増し、昨年末に行われた大阪府選抜チームに選ばれ、台湾遠征も経験。履正社の安田尚憲や若林将平などの強打者や、上宮太子の森田輝など、レベルの高い選手たちと共に過ごした時間は、今でも何にも変え難い貴重な経験だったと思っている。

「あのメンバーの中でプレーして、勝つために何をするとか、どんな練習をすればいいかとかすごく勉強になりました」

 遠征の中で得た情報を持ち帰り、チームに還元するだけでなく、自身の教訓として冬の練習にも一層熱が入った。

「京大に入学できれば、野球部に入って、また投手としてプレーしたいです」

 だが、3月に入るとヒジに痛みを覚えるようになった。冬場のオーバートレーニングなど、熱が入りすぎてしまい、予想外に体に負担がかかってしまっていたのだ。蓄積疲労の影響で痛みを帯びていたが、以降は痛みを堪えながらマウンドに立った。

 この日も強力打線に立ち向かっていったが「相手の打線が予想以上に素晴らしかった。こちらもなかなかチャンスをもらえなかったです。攻める姿勢は忘れないようにしていたのですが、全体的には浮足立ってしまったところもありました。でも牧野はよく投げてくれました」と小谷内和宏監督。点差は開いてしまったが、北野のマウンドを最後まで守り続けたのはエースの意地だった。

 高校野球はこれで終わりになるが、明日からは受験勉強が待っている。28日まで午前中に授業があり、明日も朝から登校。しかも今日受験するはずだった模試にも臨む予定だ。志望大学は京都大だ。

「京大に入学できれば、野球部に入って、また投手としてプレーしたいです」

 将来の夢は宇宙関係の仕事に就くことだ。幼いころから憧れを抱いてきた宇宙の世界に触れ、未知なる世界を切り開いていきたいという。甲子園という夢は叶わなかったが、これからはさらにスケールの大きな夢へ挑んでいく。(沢井史 / Fumi Sawai)