ジャクソンの超美技が絶賛浴びるも、体ごと“柵越え”は本塁打ではないのか…

 1日(日本時間2日)のレッドソックス-インディアンス戦で飛び出した超美技が、米国で大きな話題となった。インディアンスのオースティン・ジャクソン外野手が、ハンリー・ラミレスのホームラン性の打球をスーパーキャッチ。そのままフェンスを越えて、フェンウェイ・パークの右中間にあるブルペンに落下したのだ。

 ただ、ジャクソンは空中で捕球後に体ごと完全に“フェンスオーバー”となったため、ホームランになるのではないかとして、ファンからは判定に対する疑問の声も上がった。実際に、レッドソックスのジョン・ファレル監督もチャレンジしたが、判定は覆らなかった。ルール上、このスーパーキャッチは“成立”するのだろうか。

 驚愕のキャッチは、インディアンスが7-5と2点をリードして迎えた5回に飛び出した。レッドソックスの攻撃で、先頭のラミレスが放った打球がセンター右へとグングン伸びる。そのまま1点差に迫るソロ本塁打になるかと思われたが、センターのジャクソンがジャンプ。体を目いっぱい伸ばし、フェンスオーバーしてブルペンに飛び込もうとしていた打球をもぎ取った。

 そして、勢い余ってそのまま体ごとブルペン側へと落下。右手でフェンスをつかみ、バランスを取りながら落ちたため地面に叩きつけられることはなかったものの、体は完全に“柵越え”。ただ、ボールは確かにグラブに収められており、ジャクソンは立ち上がって捕球をアピールし、判定はアウトとなった。

 米スポーツ誌「スポーツ・イラストレイテッド」は「これから目にするであろう最高の捕球の内のひとつを、オースティン・ジャクソンが成し遂げた」と特集し、「めちゃくちゃだ。フェンスを飛び越え、ブルペンに落ちるような捕球は本来マイナーリーグで見られる。 ここ一番の場面でジャクソンがこのようなことを行ったのは、非常に素晴らしい。そして、このキャッチを我々は何年間も忘れないだろう」と絶賛した。

日米の野球規則でジャクソンの捕球はアウトに

 一方で、敵地が騒然となったスーパープレーについて、「ホームランではないのか?」との声も上がった。ジャクソンは確かにキャッチしたものの、体ごとフェンスオーバー。これが「捕球=アウト」と認められのるかという疑問だ。

 ただ、「スポーツ・イラストレイテッド」と同じようにこのプレーを取り上げた「CBSスポーツ」電子版は「レッドソックスはこの捕球に対しチャレンジしたが、再検討の上、(アウトと)証明された」と指摘。「OFFICIAL BASEBALL RULES 2017 Edition」の「ルール5.09」の抜粋を紹介している。「ルール5.09」の全文は、以下の通りだ。

「A fielder may reach into, but not step into, a dugout to make a catch, and if he holds the ball, the catch shall be allowed. A fielder, in order to make a catch on a foul ball nearing a dugout or other out-of-play area (such as the stands), must have one or both feet on or over the playing surface (including the lip of the dugout) and neither foot on the ground inside the dugout or in any other out-of-play area. Ball is in play, unless the fielder, after making a legal catch, steps or falls into a dugout or other out-of-play area, in which case the ball is dead. Status of run- ners shall be as described in Rule 5.06(b)(3)(C)」(OFFICIAL BASEBALL RULES 2017 Editionより抜粋)

 これは、日本の2017の「公認野球規則」でも同様に記されており、MLBだけではなくNPBでも共通のルールとなる。「公認野球規則」の5.09「アウト」の項目では、(a)打者アウトの「フェア飛球またはファウル飛球(ファウルチップを除く)が、野手に正規に捕らえられた場合」として、【原注1】では以下のようになっている。

「野手は捕球するためにダッグアウトの中に手を差し伸べることはできるが、足を踏み込むことはできない。野手がボールを確捕すれば、それは正規の捕球となる。ダッグアウトまたはボールデッドの箇所(たとえばスタンド)に近づいてファウルフライを捕らえるためには、野手はグラウンド(ダッグアウトの縁を含む)上または上方に片足または両足を置いておかなければならず、またいずれの足もダッグアウトの中またはボールデッドの箇所の中に置いてはならない。正規の捕球の後、野手がダッグアウトまたはボールデッドの箇所に《踏み込んだり、倒れ込んだ場合、ボールデッドとなる。》」(2017年「公認野球規則」より抜粋)

「両足はフィールド内にあった。よって、これは確実に捕球である」

 日本の「公認野球規則」も上記の英文をほぼ訳した内容。つまり、空中であってもグラウンド内に片足でも残った状態で捕球すれば、その時点で打者走者はアウト。そして、その後、野手が客席などに倒れ込んだ場合は、ボールデッドとなって走者が進塁できる。ラミレスのケースは先頭打者で走者はいなかったため、ボールデッドになったことは関係がなかった。

「CBSスポーツ」も、抜粋を載せた後に「ジャクソンの両足はフィールド内にあった。よって、これは確実に捕球である。実際、この捕球は”単なる”捕球以上のものだった。ジャクソンは激しいキャッチをした。2017年最高のプレーのひとつである」と結論づけている。

“ホームランキャッチ”後に体ごとフェンスオーバーしてしまうプレーは滅多に見られないため、今回のような疑問の声も上がるが、ファウルボールの捕球に置き換えると分かりやすい。仮に、捕球後に体がスタンドに飛び込ん場合にアウトが認められないとなると、ファウルボールを捕った後に選手がスタンド、もしくはカメラマン席に落ちるようなファインプレーは、すべてファウルになってしまう。ジャクソンの捕球は当然、認められるということだ。

 まさに衝撃のスーパープレー。メジャー史に残る名シーンとなった。(Full-Count編集部)