西武の歴史的連勝の裏にあった、もう1つの“縁起モノ”

 59年ぶりの13連勝と、破竹の勢いを見せた西武。連勝が始まったのが、球団の企画した7月21日〜8月17日で行われる夏の大型シリーズイベント『ライオンズ フェスティバルズ 2017』の開催初日だったため、そこから13試合無敗を誇った、イベント期間限定で選手が着用している『炎獅子(えんじし)ユニフォーム』は、「負けないユニフォーム」として、すっかり縁起物となった。

 だが、実はもう1つ、連勝中に続けられていた“縁起モノ”が存在した。木村文紀による、試合直前の『声出し』である。毎試合前、円陣の中で指名された選手が代表して一言を発し、試合への士気を高めるチームの恒例だが、その試合に勝つと、ゲンを担いで次の試合も同じ選手が担当するのがお決まりとなっている。よって、7月21日に回ってきた木村文は、連勝が止まった8月5日まで、毎日担当が続いた。

 10連勝目がかかった8月1日、楽天3連戦初戦での声出し内容だ。

「今日から首位・楽天3連戦です。僕たちは、このチームに勝たないと、上には行けません。絶対に勝ちましょう! ところで、今、僕はバスターの練習をしています。なので、今日、(西武在籍時代から“バスター打法”で知られる)細川(亨)さん(楽天)にアドバイスをもらいに行ったら、『まだまだ』と言われました」

 チーム全員から笑いが起こった。

14回の間には微かな“悩み”も

 こんな風に、まずは対戦チームや相手投手の情報を交えた真面目な話題でしっかりと気合いを入れ、最後に自虐ネタなどで笑いを誘い、雰囲気を盛り上げて試合への流れを作ることを、木村文なりに信条としていた。

「試合前の大事な時間ですが、声出しで、みんながちょっとでも笑って、リラックスして試合に入れたら良いなと思っていました。でもそれも、チームの状態や雰囲気がいいからこそできることだなぁと思います」

 さすがに、14回。「正直、もうネタがなくてきついですよ(笑)」と、ジョーク交じりで微かな悩み(?)を口にしていたが、光栄な大役だった。

「これがゲン担ぎとなってチームが勝ってくれるんだったら、いくらでも声を出しますよ。カラカラになってでも、ネタは絞り出すので、このまま行けるところまでいきたいです!」

ただの“勢い”ではない快進撃、選手が口にする一体感

 極論を言えば、このままシーズン最終戦まで『声出し』役を続けられることが理想であり、その気も満々だったようだが、残念ながら、お役交代の時を迎えてしまった。

 連勝記録は途切れたが、14試合ぶりの敗戦となった8月5日のソフトバンク戦も、1-7の6点差ビハインドから、9回に同点に追いつく執念を披露した。辻発彦監督も「こういう試合をすれば、チームは絶対に強くなっていく」と、その選手たちの熱い戦いぶりを大いに称え、誇った。また、選手も誰もが「チームがまとまっている」と、一体感を口にする。

 そして6日にはソフトバンクに6-1と勝利して再び差を詰めた。決して、ただの“勢い”だけではなく、必要な要素が揃っての、地に足ついた快進撃。そこには、こうした「雰囲気作り」など、試合中以外の一面がもたらした好影響も少なくないはずだ。(上岡真里江 / Marie Kamioka)