就任1年目の埼玉西武・辻監督が重視するモノ

 59年ぶりの13連勝をマークした埼玉西武ライオンズ。5日にソフトバンクに敗れて14連勝はならなかったが、その間で上位との差を縮めることに成功した。

 大逆転Vが見え始めた埼玉西武。就任1年目の辻発彦監督はチームを指揮する上で「選手の自主性」を大切にしているという。

「『こうしたい』、『こうしなければ』という自分の意思でプレーするのが1番です。試合中のサインにしても『ここはどうかな』と思ってサインを見るのではなく、『こうしなきゃいけないな』という選手の思いと、監督のサインが一致するチームでありたいと思っています」

 試合は選手主導。監督がプレーするわけではないため、サインなしで試合に勝つことが1番だと話す。失敗も起こるが「ミスをしなければわからないこともたくさんある」と前向きだ。

「自分が思ったことを積極的にやって欲しいと思っています。自分の意志で動き、その上で起きたミスには、当然反省します。『これだけはダメだよ』というところは言いますが、選手が成長していくために、こちらが決めつけるのではなく、選手の意思を1番に考えてあげたいと思っています」

選手への信頼がにじむ指揮官の言葉

 ヤクルト、横浜、中日でコーチを歴任し、監督となって初のシーズンだが、ベンチでは監督らしく、腕を組んで静かに戦況を見守ることができないという。

「ボールを追っていると、気持ちが入ってしまうので自然に声が出てしまいますね。試合中にコーチとも話をしますが、試合に出ていない若い選手に、話を聞いて勉強して欲しいという気持ちもあります」

 試合の中では「こうしておけばよかった」という後悔や、思い切った戦術に踏み切れないことも多々あるそうだ。

「シーズンを戦っていく中では、選手に助けられることも多いです。選手とは、持ちつ持たれつの関係だと思っています」

「今のチームの戦力の中で、いかに全員が全力を出し切れるか。そのためにグラウンド整備をするのが監督の仕事だと思います」

 そう話す指揮官の言葉には、選手への信頼が感じられる。

子供の頃の思い出、「なぜかセカンドの基満男さんが好きでね」

 炎獅子ユニホームを着用した7月21日からスタートした快進撃は、夏休みの子供たちにも嬉しい連勝となったはず。今月26日の本拠地オリックス戦では、来場者の子供全員に野球盤がプレゼントされるということで、辻監督の子供の頃の話も聞いてみた。

「佐賀県出身なので、隣の福岡県の平和台球場に、西鉄ライオンズの試合を見によく父親に連れて行ってもらいました。印象深いのは稲尾和久さん、中西太さん。でもなぜかセカンドの基満男さんが好きでね。すごく記憶にあります」

 現役時代は名二塁手として活躍したが、幼い頃から二塁手に興味があったようだ。

 高校時代は、厚紙を彫刻刀で掘り、消しゴムを丸くしてボールにした自作の野球盤でクラスメートと遊んでいたという。当時を懐かしそうに振り返り「何やってたんだろうな」と笑顔を見せた。

 一緒に遊んでみたい選手をたずねると「岡田、外崎とやりたいね。あの2人は声を出すから面白いんだよ」という答えが返ってきた。

 ある試合前には、練習中の岡田捕手に「岡田、野球盤やろうよ」と声をかける辻監督の姿があった。選手の自主性を重んじながら、コミュニケーションも大切にする指揮官の姿に、チーム好調の理由がうかがえた。 (篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)