西武の菊池は19試合中17試合でQSを達成

 QS(クオリティースタート)は、先発投手が6回以上を投げて自責点3以下に抑えることだ。「先発投手の最低限の責任」とされる。MLBで考案されたが、NPBでもかなり普及してきた指標だ。

 6回自責点3と言えば、防御率は4.50、決して上出来とは言えない。両リーグの平均防御率が4.30台のMLBでは、ほぼ平均と言えるが、平均防御率が3.60台のNPBでは「最低限の責任と言えるのか」という見方もある。

 しかし、“投高打低”のNPBでエースとして活躍する投手でも、1シーズンすべてでQSを記録することは滅多にない。2013年、楽天の田中将大は24勝0敗という大記録を残したが、この年の28登板はすべてQS。QS率100%という空前の記録を打ち立てた。

 もちろん、田中のような例は極めて稀だ。どんな大投手でも、年に数回はQSをクリアできない登板があるものだ。そういう意味では、NPBでもQSは先発投手の安定感を示す有効な指標だと言えよう。

 今シーズン、規定投球回数以上に達している投手のQS%ランキングを見てみよう。

○パ・リーグ
1菊池雄星(西)89.5%(19試合17QS 11勝5敗)
2岸孝之(楽)82.4%(17試合14QS 8勝5敗)
3美馬学(楽)72.2%(18試合13QS 9勝3敗)
3東浜巨(ソ)72.2%(18試合13QS 12勝3敗)
3バンデンハーク(ソ)72.2%(18試合13QS 10勝5敗)
6松葉貴大(オ)70.6%(17試合12QS 3勝9敗)
7西勇輝(オ)68.8%(16試合11QS 5勝6敗)
8則本昂大(楽)58.8%(17試合10QS 11勝3敗)
9金子千尋(オ)57.9%(19試合11QS 9勝6敗)
9涌井秀章(ロ)57.9%(19試合11QS 3勝9敗)
11唐川侑己(ロ)55.6%(18試合10QS 4勝10敗)
12有原航平(日)47.1%(17試合8QS 5勝10敗)
13ディクソン(オ)44.4%(18試合8QS 8勝6敗)

 菊池雄星の安定感が際立っている。QSをクリアできなかったのは、6月23日のソフトバンク戦と8月10日のオリックス戦だけ。あとは、黒星を喫した残り3試合も含めQSをクリアした。

 続いて、昨年まで菊池の同僚だった楽天の岸も80%台、今季は優勝争いを繰り広げる楽天の好調の要因の1つが、岸の加入にあることがよく分かる。

 奪三振数で菊池と争っている楽天の則本は、17試合で10QSと意外に低い。今季の則本は、4完投、2完封している一方で、7試合でQSをクリアしていない。好不調の波が大きいと言えるだろう。

セ・リーグでQS率80%を超える投手はゼロ

○セ・リーグ
1菅野智之(巨)78.9%(19試合15QS 12勝5敗)
1マイコラス(巨)78.9%(19試合15QS 10勝5敗)
3野村祐輔(広)77.8%(18試合14QS 7勝4敗)
3田口麗斗(巨)77.8%(18試合14QS 10勝2敗)
5今永昇太(De)70.6%(17試合12QS 9勝5敗)
5秋山拓巳(神)70.6%(17試合12QS 9勝4敗)
7大瀬良大地(広)66.7%(18試合12QS 7勝1敗)
7バルデス(中)66.7%(21試合14QS 6勝7敗)
7メッセンジャー(神)66.7%(21試合14QS 11勝5敗)
10ブキャナン(ヤ)65.0%(20試合13QS 6勝9敗)
11岡田明丈(広)63.2%(19試合12QS 11勝4敗)
12井納翔一(De)55.6%(18試合10QS 4勝6敗)

 セ・リーグにはQS率80%を超える投手はいない。巨人の菅野、マイコラスがトップ。3位の田口も含め、巨人の先発投手陣はリーグ一の安定感がある。これで4位なのは、打線と救援投手陣に問題があるということだろう。

 広島は野村が70%台だが大瀬良、岡田は60%台。先発陣では巨人に劣るが、圧倒的な打線でカバーし、首位を走っている。

 阪神は、秋山の成長がこの数値からも見て取れる。メッセンジャーのQS%は66.70%だが、14QSは秋山より多かった。骨折による離脱のダメージは大きいと言わざるを得ない。

 残り試合が少なくなり、1試合の価値が高まる中で、投手がQSをキープし、試合を作ることの重要性は高まる。今後、どのチームの先発投手がQS率を向上させていくのだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)