腰椎分離症と群発性頭痛…新チーム始動後、主戦二人が抜けるアクシデント

 第102回全国高校野球選手権大会の中止が決まり、約1か月。代替大会、引退試合、上の舞台、将来の夢……。球児たちも気持ちを切り替え、新たな目標に向かってそれぞれのスタートを切っている。新型コロナウイルスは彼らから何を奪い、何を与えたのか。Full-Countでは連載企画「#このままじゃ終われない」で球児一人ひとりの今を伝えていく。

 甲子園未出場ながら現阪神の大山悠輔、元広島の長井良太らこれまで7人のプロ野球選手を輩出してきた茨城県・つくば秀英高校。今年の3年生は新チーム発足後から波乱万丈のスタートとなった。

 エースの次郎丸匡峻(じろまる・まさちか)はプロ注目の右腕。秋の地区予選初戦で登板するも、腰痛のためわずか2球で降板、そのまま病院へ直行し、医師からは腰椎分離症と診断された。

「まともに歩けないほどの激痛でした。やっと背番号1をもらえたのに、そこからはリハビリのため病院に通いつつ、何もできない日々。年明けにようやく練習が再開できるようになって、いよいよというタイミングで春の大会がなくなった。自分にとっては、中止の覚悟があった夏よりも復帰登板の春がなくなったことが一番のショックでした」(次郎丸)

 一方、左腕の後藤孔希は昨夏、上級生最後の試合の応援中、眩暈と頭痛を感じた。最初は熱中症かと思ったが、3日経っても痛みは治まらず病院へ。群発性頭痛というストレス性の偏頭痛と診断され1か月半の休部を余儀なくされた。

「トリガーがあるみたいで、強いストレスや体の疲労が重なると頭痛が出る。春夏の大会が中止になったときも失望感がすごかったですが、3年生全員で何度もミーティングをして、みんなが不安をさらけ出した。本当の意味で初めてチームが一つになって、今度は頭痛のせいにしていられないと思いました」(後藤)

大会中止で初めてさらけ出した本音、チームが一つになった瞬間

 主戦の投手が相次いで戦線を離れるなか、チームを支えたのが投手キャプテンの枩本匠(まつもと・たくみ)だ。「登板機会がめぐってきてうれしい反面、投手陣全体が緩んだ部分もあった。怪我人が多いなか、無理をさせすぎないようにするのと、緩くなりすぎないようにするバランスが難しかったです」と枩本。大会中止で目標を喪失した思いもあったというが、代替大会でアピールし上のレベルでもプレーできるよう練習を重ねている。

「まだ公式戦のマウンドでちゃんと投げる姿を見せられてないので、一番は両親に申し訳ない。最後の代替大会では、思う存分突っ走りたいです」と次郎丸。新型コロナウイルス以前からたくさんの困難を乗り越えてきたチームが、いよいよ一つになり、3年間の集大成に臨む。(佐藤佑輔 / Yusuke Sato)