元メジャーリーガー藪恵壹氏が今季1軍初登板で161キロを記録した千賀を分析

■ソフトバンク 4-3 楽天(7日・PayPayドーム)

 ソフトバンクの千賀滉大投手が7日、本拠地で行われた楽天戦で今季初先発初勝利を飾った。初回から自己最速タイとなる161キロを記録した右腕は5回で3失点したが、味方打線の援護もあって1点リードで降板。6奪三振ながら4四球を出し、94球と球数はかさみながらも白星を手に入れた。このピッチングを見た元メジャー右腕の藪恵壹氏は、あるメジャー投手のデビュー戦を思い出したという。

「ストラスバーグのデビュー戦を思い出しました」

 ストラスバーグとは、ご存じ、昨年のワールドシリーズでチームの世界一に貢献し、MVPを獲得した剛腕投手だ。サンディエゴ州立大時代から100マイル(約161キロ)の剛速球を投げるピッチャーとして、全米に名を轟かせた右腕は、2009年のドラフト1巡目(全体1位)でナショナルズ入り。トミー・ジョン手術などを経ながらも、メジャー10年で112勝58敗、防御率3.17の好成績でエースとして活躍している。

 藪氏が思い出したというのは、2010年6月8日のパイレーツ戦。この時、7回4安打14奪三振2失点で白星を手に入れた。投じた94球のうち、実に34球が98マイル(約158キロ)超えだった。

「プレーボールでいきなり100マイル。先制されましたが、味方がすぐさま逆転して勝利投手になった試合です」

 千賀もこの日、初球で159キロを記録すると、自己最速タイの161キロを記録。初回に島内の中越え二塁打で2点の先制を許したが、直後の攻撃で柳田が同点2ランを放つなど打線に救われ、初勝利を手に入れた。確かに、状況としてはストラスバーグのデビュー戦に似ている。

千賀の最速161キロの衝撃「ボールが手から離れてミットにつくまで、すごく短かった」

 藪氏は千賀について「もちろん、いい投手」と高評価。160キロを推移する速球についても「ボールが手から離れてミットにつくまで、すごく短かった」と振り返る。

 だが、楽天の打者たちはそんな剛速球にも対応。鈴木大が捉えた球はスライダーだったが、速球にもバットを当ててファウルで凌いだ。完全無欠とも思える剛速球が、なぜ打たれるのか。藪氏は「打者の技術も上がっていますよ」と話す。

「茂木選手や鈴木大地選手も真っ直ぐは振り遅れていましたね。前には飛んでいませんでした。唯一捉えていたのは島内選手ですかね。それでも、タイミングが合えば160キロの剛速球でもバットには当たります。投手のレベルも上がっているけれど、打者の技術も同じくらい上がっている。今はマシンで170キロまで練習できますし、1軍クラスの打者は真っ直ぐと分かっていれば対応できますよ」

 いくら球速が出ていても、タイミングを外す工夫をしなければ、打者の目が慣れてきてしまうというわけだ。

 この日、代名詞とも言えるフォークの調子がいまいちで、途中制球に苦しむ様子も見せた千賀だが「復帰登板としては十分でしょう」と藪氏。ストラスバーグのデビュー戦と同じように初勝利も飾った。

「2人とも勝ち運を持っていますね」

 本調子ではなくても勝利を引き寄せる。日米を代表するエースには、そんな強運も共通しているようだ。(佐藤直子 / Naoko Sato)