自己最速タイの157キロも、課題を残した変化球の精度

■楽天 12-8 ソフトバンク(8日・PayPayドーム)

 8日の楽天戦で今季初登板を果たしたソフトバンクの杉山一樹投手。負傷したムーアに替わって、この日1軍に昇格すると、出番はいきなり巡ってきた。先発の笠谷が2回7失点で降板し、スクランブル体勢に。杉山は2点ビハインドの5回にマウンドに上がった。

 唸るような真っ直ぐが次々と投じられた。初球にいきなり156キロをマークすると、太田は154キロで見逃し三振。続く辰己には自己最速タイの157キロを投じて2者連続の見逃し三振。小深田に四球、鈴木に安打を許したが、ブラッシュを空振り三振に仕留めて無失点に切り抜けた。

 アウト3つは全て三振で奪う圧巻のピッチング。力強いボールには十分、そのポテンシャルの高さを感じさせた。ただ、試合後の杉山の表情は固かった。

「最悪ですね、全然ダメでした。真っ直ぐだけになると1軍のレベルならついてくるので、そこに変化球とかを使えないと意味がないと、2軍の時からやってきたんですけど、あんまりだったです。通用しないですね。ついてこられるので」

ストレート一辺倒だと対応してくる1軍のレベルの高さ

 今季初の1軍登板。それを無失点で切り抜けても、口からは反省の言葉が並ぶ。これだけの真っ直ぐがありながら、1軍では通用しない、とまで断言した。

 この日、確かに杉山のストレートには目を見張るものがあった。とは言え、それだけで抑えられるほど、プロは甘くない。ほとんどが一見の選手たちにも関わらず、杉山のストレートに楽天の選手たちは反応し、そしてバットに当てた。小深田には見極められて四球を出し、鈴木にはストレートを弾き返されて安打にされた。

 その要因は明快だった。変化球の精度、これに尽きる。この日投じた29球のうち、変化球は5球だけ。スライダーを使ったが、大きくワンバウンドとなるボールがあるなど、課題が残った。この日は抑えられたものの、ストレート一辺倒ではこの先、必ず打たれる。この日の楽天打線の反応を見ても、そう感じざるをえなかった。

「ダメですね。選択肢がなさすぎるので。ストレートだけだったので、カーブ、フォーク、スライダー、ある程度ゾーンに集めれないと、1イニングだけでも1軍レベルではキツイな、と思います」。スケールの大きさを見せた一方で、ストレートだけでは抑えられないプロの世界の厳しさも。自主トレを共にした千賀に「群を抜いていた。僕も超されました」とさえ言わしめた杉山。ここからの進化、成長に期待したい。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)