元阪神エースの藪恵壹氏が分析「原監督と矢野監督の勝負勘の差もある」

■阪神 7-3 中日(29日・甲子園)

 29日から13連戦に突入した阪神は、同日に本拠地・甲子園で行われた中日戦に7-3で勝利した。これで今季、甲子園での中日戦は7戦7勝と負けなし。セ・リーグ首位の巨人も勝ったため12.5ゲーム差から縮まらなかったが、大逆転優勝を実現させるには1敗も惜しまれる阪神は、13連戦勝ち越しに向けて好スタートを切った。

 元阪神エースでメジャー右腕の藪恵壹氏は、12.5ゲームも開いてしまった巨人と阪神の差は「守備力の差」だと指摘する。9月28日終了時点で、巨人のチーム失策は22個だが、阪神はその2倍以上の59失策を記録している。この日も2回に逆転を許した場面には失策が絡んだ。

「もう1つ、8回に守備固めで二塁に入った植田(海)選手がゴロを慎重に処理しすぎてゲッツーに仕留められない場面がありました。記録はエラーにはならないけれど、ああいう小さな積み重ねが大きな差を生んでしまいます」

 さらに、藪氏が2チームの差として指摘するのが「4番打者を固定していないこと」と「原辰徳監督と矢野燿大監督の勝負勘」だ。

「巨人は岡本和真選手に4番を任せていますが、阪神は大山(悠輔)選手やサンズ、ボーアなどを代わる代わる起用して、しっかり固定しきれていません。選手起用を見ても、阪神はコマはいても起用方法がなかなか当たらない。原監督と矢野監督の勝負勘の差が出ていますね。試合の中で攻める場面、引く場面といった押し引き、勝負に出るべき所を原監督は分かっていますね。これは経験の差も関係してくるでしょう」

振り返れば迫る3位DeNA、4位中日の姿「2位から4位までは全然分からない」

 藪氏は故・野村克也氏の言葉を借りて、矢野監督は「無難な野球をする」と表現する。その好例が、初回無死二塁の場面で、2番・北條史也内野手に送りバントをさせた場面だという。

「首位を追う立場の阪神は、攻めて勝ちにいく野球をしないといけない。でも、初回ノーアウト、ランナー二塁で送りバントをしては、1点は取れるかもしれないけど、それ以上は望めません。9回にその攻め方だったら分かりますが、序盤は攻めるべきでしょう。大量点を狙いにいかない無難な野球で、20年前に僕らが現役だった頃の野球に見えてしまいます。負けられないという気持ちが無難な選択をさせるのかもしれませんが、それでは首位にいるチームは全然怖さを感じない。何をするのか分からないと思わせないと」

 12.5ゲーム差を少しでも縮めるためには、この日から始まった13連戦で1つでも多くの勝ち星を挙げる必要がある。藪氏は、中でも巨人4連戦は全勝の意気込みを求める。

「巨人との直接対決は残り8試合ありますが、全部勝ってようやく今年は対戦成績が五分になる。今週末の4連戦で『1勝すれば大丈夫』と、巨人は気分は楽でしょう。2勝2敗でもゲーム差は縮まらない。4戦全勝を目指さないといけません」

 首位を走る巨人の背中から目を離さないことは必要だが、ふと振り返ると、そこには1ゲーム差で3位のDeNA、3.5ゲーム差で4位の中日が迫っている。藪氏は「2位から4位までは全然分からない」と注意を促す。

「初戦は中日に勝ったけれど、2戦目から連敗すれば中日と1.5ゲーム差に縮まってしまいます。こうなったら、下手したら4位まで落ちてしまう可能性もある。久々のAクラスを狙う中日は、まず30日に大野雄大投手で連敗阻止を狙うでしょう。阪神はそこで勝ちきれるかどうか。前を見ながら、でも後ろにも注意を払いつつ、13連戦を全勝でいくくらいの気持ちで勝負に出てほしいですね」

 今季はクライマックスシリーズがないセ・リーグの最終盤を、より面白く見応えのあるレースにするためにも、2位阪神の奮起が期待される。(佐藤直子 / Naoko Sato)