元ヤクルトの川崎憲次郎氏が指摘する失点の理由「まとまって投げられた」

■巨人 7-1 阪神(4日・甲子園)

 阪神は4日、本拠地での巨人戦に1-7で敗れた。これで首位・巨人との差は13.5ゲームに開き、大逆転優勝へ厳しさが増した。

 6回まで1点を追う接戦を演じていたが、7回に突き放された。6回から2番手としてマウンドに上がったのは、今季救援5登板目の藤浪晋太郎。6回は走者を三塁まで進めながらも無失点としたが、7回1死から2連打で一、三塁としたところ、吉川尚輝に右翼へタイムリー二塁打、松原聖弥に二遊間を抜けるタイムリーを献上。3点を失ったところで降板した。

 ここまで救援として4試合に投げ、防御率1.80とリズムを掴み始めていたが、巨人打線に畳みかけられた。元ヤクルトで沢村賞右腕の川崎憲次郎氏は「走者を背負ってから、投げっぷりが変わってしまいました」と指摘する。

「走者のいない場面では、160キロに迫るストレートを武器に打者を力で抑えるピッチングをします。でも、走者を背負うとストライクを取りにいくことが最優先されるのでしょう。同じ158キロの球でも、球威が変わってしまいました」

 川崎氏は投手心理として、走者を出すとストライクを取ることを優先する「その気持ちは分かります」という。特に、制球に難がある藤浪の場合は「いろいろな考えが頭の中を駆け巡ったのでは」と推察する。

「思いきり投げて暴投になってしまうのが怖い。いろいろなシチュエーションが頭を巡ったと思います。そこで選んだのが、ストライクを取ること。ストライクを投げないと試合にならないのは、藤浪投手本人が分かっていることですから。しかも、今日の藤浪投手はストライクゾーンにまとまって投げることができた。逆に、巨人打線はそこを狙って得点に繋げたのでしょう」

川崎氏が評価するウィーラーへの初球「右打者を相手に、あのボールでストライクは…」

 1点差だった試合の行方を決めた場面ではあったが、藤浪にとって「決してマイナス要素だけではなかった」と川崎氏は分析する。

「これまでの藤浪投手だったら、ストライクゾーンにまとめる制球は難しかったでしょう。それができるようになったのは、中継ぎとして短いイニングで思いきり腕を振って投げ抑える経験を重ねたから。藤浪投手が打たれる時、ストレートはシュート回転をする傾向にあります。でも、6回にウィーラーの打席で投げた初球、外角いっぱいに決まった159キロのストレートはシュート回転せずに伸びる球でした。右打者を相手に、あのボールでストライクを取った意味は大きいと思います。ああいう球をもっと投げられるようになるといいですよね」

 それでは、どうすれば思い切った球を投げ込むことができるようになるのか。川崎氏は「投球間隔を長く空けない方がいい」とアドバイスを送る。

「1球1球、投げる間隔があくと、その間にロジンバックを触ったり、プレートの土を払ったりしながら、いろいろなことを考えてしまうんだと思います。元々、藤浪投手はストレート、スライダー、フォークなど持っている球はどれも素晴らしい。余計なことを考えず、選んだ球をどんどん投げ込めばいいと思います。コントロールもピンポイントではなく『大体の場所にいけばいい』くらいに構えておいた方がいいでしょう」

 テンポよく、余計なことを考えずに投げるには、バッテリーを組む梅野隆太郎のサポートも必要だ。
 
「梅野捕手も考えさせないことを意識して、多少強引でもジェスチャーで示しながら、どんどん投げるように要求すればいい。そういう経験を重ねるうちに、考え込まずに投げる習慣がついて、テンポのいいピッチングになると思いますよ」

 ここ数年、制球難を含めて試行錯誤が続く藤浪だが、リリーフとしてマウンドに上がるようになってから、何か変化が生まれているようにも見える。チャンスを逃さず、どんな小さなことでも成長のきっかけに繋げたい。(佐藤直子 / Naoko Sato)