同じ九州で1歳違いの元ヤクルト川崎憲次郎氏が振り返る打席での印象

 長らく滞在したインドネシアから帰国以来、連日SNSやテレビなどのメディアを賑わせている新庄剛志氏。昨年11月、突如として発したNPB復帰宣言で大きな注目を浴びている。自身のSNSを通じてトレーニングの様子を公開しているが、とても48歳とは思えぬ体の動きで「ひょっとしたら……」という期待を抱かせている。

 今後はトライアウトを受けながら復帰の道を探るという新庄氏だが、獲得に名乗りを上げる球団はあるのだろうか。「野球界が盛り上がることは間違いない。僕はぜひ、現役復帰する姿を見てみたいですね」と語るのは、元ヤクルトで沢村賞投手の川崎憲次郎氏だ。

 大分・津久見高のエースだった川崎氏と、福岡・西日本短大附属高でプレーした新庄氏。同じ九州地区の強豪でプレーしていたこともあり、高校時代からその存在は知っていたという。

「彼は僕の1学年下で、高校生の頃から知っていました。プロに入ってからも何度も対戦しましたが、実は打席で受ける印象は、普段の派手なパフォーマンスとは少し違うものでした」

 1988年のドラフト1位でヤクルト入りした川崎氏は、その1年後、ドラフト5位で阪神入りした新庄氏と、何度となく18.44メートルの距離を挟んで対峙した。阪神時代から周囲の注意をひくパフォーマンスで、一躍人気選手となった新庄氏だが、打席で受けた印象は「素直で真っ直ぐ」だったという。

「普段、ああいうパフォーマンスを見せていても、打席に立った時に嫌なタイプのバッターかというと、そんなことはない。むしろ素直だな、というのが僕の印象です。決して、投手が嫌なことを仕掛けてくるタイプではなく、自分のスタイルを貫いている感じがしましたね。何かやってくるな、と思わせる、嫌らしい打者だったのは元木大介(現巨人ヘッドコーチ)みたいなタイプ。ピッチャーが嫌がるようなことを仕掛けてきますから。僕が一番対戦したくなかったのが、元巨人の川相昌弘さんですね。川相さんは何でもできる器用なバッターだから、何を考えて何を狙ってくるのかが全然分かりませんでした。それに対して新庄は、真っ直ぐ一本。真っ向勝負でくるタイプでした」

「野球界を盛り上げたいというのが一番の思いだと思います」

 普段の言動を見ると、打席でもクセの強いタイプかと思いきや、そこで感じる姿は「真っ直ぐな人」。意外に思える反面、そういった真っ直ぐさが、引退から13年経った今、真剣に現役復帰に挑戦する姿に繋がっているのかもしれない。

 SNSで見る新庄氏の動きは、とても48歳のものとは思えないが、現実として13年のブランクを埋め、親子ほど年が離れた20代の選手たちとプレーするのは、簡単なことではない。「本人もそれはよく分かっていると思いますよ」と言う川崎氏は、こう続けた。

「野球が大好きだから、野球界を盛り上げたいというのが一番の思いだと思います。派手なパフォーマンスに目が行きがちですが、考えていることは結構真面目だし、どんなことにも一生懸命取り組んで、真剣に楽しんでいる。ただ、人より2、3歩前を歩いているから、変わっているように思われがちですよね。

 もちろん48歳の今、20代の頃と同じように動けるとは思いません。でも、やっぱり見てみたいですよね。何かやってくれる、という期待感をみんなが持つと思うし、今まで野球に興味がなかった人たちの目も惹きつけますから。その上で、たとえ1か月だけでもレギュラーが獲れたら、野球界は絶対に盛り上がる。あるいは、彼がプレーする日を予告すれば、球場は超満員になると思いますよ。僕も個人的な意見として、ぜひ見てみたいですね。夢があります」

 新庄氏の野球に対する真っ直ぐな思いが実を結ぶのか。このオフ屈指の注目ポイントとなりそうだ。(佐藤直子 / Naoko Sato)