ヤクルトや阪神などで捕手として活躍した野口寿浩氏が解説

 広島の鈴木誠也外野手が10日、敵地・神宮球場でのヤクルト戦で4年ぶりに「1番」で出場し、3打数3安打で代走を送られ交代。今季打率がジャスト3割(430打数129安打)に達し、球団史上初の5年連続打率3割が確定した。11日の今季最終戦は欠場する見込み。ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜(現DeNA)で21年間に渡って捕手として活躍した野口寿浩氏が“キャッチャー目線”で分析した。

 1回の第1打席は、相手のドラフト1位ルーキー・奥川が初球から5球続けたストレートを、いとも簡単そうにとらえ、中堅手の右を抜く二塁打に。2回の第2打席は外角高めのスライダーを左前打。3回の第3打席では、2番手・星の外角高めの144キロ速球にバットを合わせ、一塁線を破る二塁打を放った。ここで代走・野間を送られ、お役御免となった。

 今季は打率.300、25本塁打、75打点。打率は首位打者を獲得した昨年の.335から下降したものの、コロナ禍で試合数が143から120(鈴木誠の出場試合数は118)に減ったことを考えれば、その他は昨季の28本塁打、87打点と比べて遜色ない。野口氏は「低迷するチームにあって、ほぼ誠也1人が気を吐いた印象。向上心の塊のような本人にとっては不本意だろうが、相手から徹底的にマークされる状況の中で、非常に立派な成績だと思う」と評する。

「誠也が嫌がることを、しつこくやっていくしかない」

 相手捕手の目線で見ると「対策が見当たらない。対戦するのが嫌」と吐露する野口氏。それでもシーズンを通して対戦しなければならないとすれば、どう対処するのか。

「誠也が嫌がることを、しつこくやっていくしかない。たとえば、1試合全球内角攻めとか。まず『この人がキャッチャーの時は嫌だな』というイメージを抱かせることが先決」とシミュレーションする。

 これを実際に行ったのが、今年の楽天だという。「今年のパ・リーグは8月下旬まで、同一カード6連戦の変則日程だったが、楽天はソフトバンク・柳田、オリックス・吉田正に対し、その6試合を通じてインコース攻めを敢行した。あの徹底ぶりはすごかった」と野口氏。6連戦の終盤には内角を狙い打たれるシーンが目立ち、「結果的には“やり過ぎ”だった。6連戦の前半で内角を意識させ、後半は裏をかいて外角へも流した方が、トータルで抑えられたのではないか」と指摘するが、これくらい極端な発想でないと、球界トップレベルの打者を抑えることはできないのだろう。

「こういう、えげつない攻めをするのはパ・リーグに多く、セ・リーグでは少ない」と野口氏は言うが、鈴木誠も、長いスパンの対策を立てなければ抑えられないレベルに達しているのは確か。来季以降、他球団との駆け引きがますます楽しみになる。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)