ヤクルトや阪神などで21年間プレーした野口寿浩氏が解説

■ソフトバンク 4-0 巨人(日本シリーズ・24日・PayPayドーム)

 24日にPayPayドームで行われた「SMBC日本シリーズ2020」第3戦は、ソフトバンクが4-0で巨人を下し、3連勝で4年連続日本一に王手をかけた。巨人はソフトバンク先発ムーアと8回のモイネロからヒットを打てず。9回に丸がこの日唯一の安打を放ち、ノーヒットノーランリレーだけは何とか免れたが、千賀、石川に続き、またも先発投手を攻略できなかった。現役時代、ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜で計21年間プレーし、2018年まで2年間ヤクルトでバッテリーコーチを務めた野球評論家の野口寿浩氏は「両チームの追い込まれ方の差が結果にも出ている」と指摘した。

 初対戦となったソフトバンクのムーアを巨人打線は最後まで打ち崩すことができなかった。初回、遊撃・牧原の失策で無死二塁のチャンスを作ったが、先制点を奪えず。2回には1死からウィーラーが四球を選んだが、続く亀井が併殺打。5回にも先頭の丸が四球を選んだが、後続が続けなかった。6回には先頭の大城がムーアの失策で出塁したが、二塁に進めることすらできず。8回はモイネロから2つの四球で出塁するも3三振。9回には森から丸が一矢報いるこの日唯一の安打を放ったが、最後まで三塁に走者を進めることはできず、完封負けを喫した。

「ムーアは好不調の波が激しい投手だが、この日は調子が良かった。球が速いし、右打者の内角に直球が決まっていて、カーブもキレが良く、途中からは直球とカーブの2つの球種だけで抑えられた。意識したわけではないだろうが、たまに高めに抜ける球も空振りを誘っていて効果があった」

 これで巨人は3試合を終え、わずか3得点。野口氏は、今シリーズの巨人打線について、こう印象を語る。

「3試合トータルで見て、巨人は追い込まれ方が悪い。この日の試合を見ても『なんでこの直球振らないの?』と思う場面が多かったが、そういうカウントの取られ方をされると、バッテリーは怖さを感じず、しめしめと思うだけ。そうなると、打者は追い込まれて打たなきゃとなり、打ちにいってボール球を振ってしまう。巨人ベンチは選手たちに積極的にいけと言っているだろうが、甲斐にうまく外されている」

第4戦の先発・和田にはチャンス? 「何とかなるかもしれない」

 一方、初球から積極的に振ってくるソフトバンク打線は、巨人とは対照的だという。

「ソフトバンクは同じ追い込まれるにしても、積極的に振っていき、空振りやファールで追い込まれている。バッテリーからすると、振りにくるのはすごく嫌。しかも、どの打者もフルスイングしてくる。少々甘い球になると打たれるから、バッテリーはどうしても際どいところをつかなければならなくなり、ボール球が増える。ホークスはシーズン中からやってきたことをやって、それで結果が出ている」

 では、巨人が勝ちを手にするためには、どういう戦い方が必要になってくるのか――。野口氏は、対戦が少なく配球の傾向が読みづらいパ・リーグ相手の短期決戦なら、早いカウントから積極的に打ちに行くことが必要だと説く。

「巨人はカウントを整える中で読みを働かせて打っていくバッティングをしているが、それだと短期決戦では終わってしまう。セ・リーグの投手相手なら持ち球や配球の流れを知っているから、相手の出方を読みやすく、打つことができる。だが、ホークスはどの投手も球が速いし、考えている間に対戦が終わってしまう。ここは原点にかえって、早いカウントから速い球を打ち返していくしかない」

 3連敗し、圧倒的に不利な状況になった巨人。だが、まだわずかなチャンスは残されていると野口氏はいう。それは今日第4戦の先発が、過去に対戦が多く、データもあるベテランの和田だからだという。

「ホークスの先発陣の中で唯一、直球が150キロいかないのが和田。今年の巨人のメンバーの中で坂本と丸は日本シリーズで、ウィーラーと中島はパ・リーグで和田と対戦経験があるし、ピッチングの傾向も出ている。25日はベンチ入りするであろう右打ちの石川も和田を知っている。和田は球のキレはいいが、今回日本シリーズで投げる先発投手の中ではスピードは一番遅い。巨人が一縷の望みを託すならそこ。もしかしたら和田だけは何とかなるかもしれない」

 昨年に続く2年連続の4連敗だけは何としても避けたい巨人。直球は140キロ台ながら、抜群にキレのある経験豊富な和田を、巨人打線は攻略することはできるのだろうか。(Full-Count編集部)