パでは1973年から10年間2シーズン制を採用

 オールドファンは覚えておられるだろうが、パ・リーグは1973年から82年まで2シーズン制を導入していた。ペナントレースを前期、後期に分け、前後期の勝者でプレーオフを戦い、その勝者が日本シリーズに進出した。

 今季NPBのペナントレースを前後期に分けたらどうなるだろう。実は、ここから面白いことがいろいろ分かってくる。試合消化のペースが異なるため、前後期にきちっと分割することはできないが、総試合数の約半分を消化した6月末で区切って、前後期の成績を見てみたい。

 まずは、パ・リーグから。

【前期】
1楽天 66試44勝21敗1分 勝率0.677 差–
2ソフトバンク 74試47勝27敗0分 勝率0.635 差1.5
3西武 68試36勝30敗2分 勝率0.545 差8.5
4オリックス 70試32勝37敗1分 勝率0.464 差14
5日本ハム 71試29勝42敗0分 勝率0.408 差18
6ロッテ 71試22勝48敗1分 勝率0.314 差24.5

 前期だけなら、楽天がソフトバンクを僅差でかわして優勝していた。西武が3位、ロッテはわずか71試合で首位と24.5ゲーム差と大きく水をあけられ、最下位だった。

【後期】
1ソフトバンク 69試47勝22敗0分 勝率0.681 差–
2西武 75試43勝31敗1分 勝率0.581 差6.5
3ロッテ 72試32勝39敗1分 勝率0.451 差16
4楽天 77試33勝42敗2分 勝率0.440 差17
5日本ハム 72試31勝41敗0分 勝率0.431 差17.5
6オリックス 73試31勝42敗0分 勝率0.425 差18

 ソフトバンクの勝率は前期も6割を超えていたが、後期はさらに加速して7割近い勝率で首位に立つ。楽天は9つ負け越し。梨田監督は「前期と後期では別のチーム」と言ったが、数字でもそれが表れている。ロッテは4割台ながら3位、実は後半は巻き返していたのだ。

個人タイトルの行方はどうなる?

 個人成績も見てみよう。

○打撃タイトル
【前期】
首位打者 秋山翔吾(西)打率.325
本塁打王 柳田悠岐(ソ)20
打点王 柳田悠岐(ソ)66
最多安打 秋山翔吾(西)87安打
盗塁王 西川遥輝(日)21

【後期】
首位打者 山川穂高(西)打率.321
本塁打王 山川穂高(西)21
打点王 山川穂高(西)56
最多安打 秋山翔吾(西)98安打
盗塁王 西川遥輝(日)、源田壮亮(西)18

 秋山は前期首位打者、後期は2位とコンスタントに好調を維持した。だが、後期に入ると、前期レギュラーでさえなかった西武の山川が“3冠王”の大活躍。盗塁でも後期は西武の新人源田が日本ハム西川と並ぶ18盗塁を決めた。後期に入って西武打線が爆発したことがわかる。なお、後期打率3位には7月に1軍昇格したオリックス吉田正尚(.311)が入っている。

○投手タイトル
【前期】
最多勝 則本昂大(楽)8勝
防御率 美馬学(楽)1.79
奪三振 則本昂大(楽)119
セーブ 松井裕樹(楽)23
ホールド シュリッター(西)、谷元圭介(日)21

【後期】
最多勝 菊池雄星(西)9勝
防御率 菊池雄星(西)1.69
奪三振 菊池雄星(西)、岸孝之(楽)116
セーブ サファテ(ソ)32
ホールド 岩嵜翔(ソ)23

 前期の最多勝、奪三振は楽天の則本だった。この期間にNPB新記録となる8試合連続2桁奪三振の快挙を成し遂げた。防御率は美馬、セーブも松井と楽天投手陣が絶好調だった。

 後期になると西武の菊池が最多勝、防御率、奪三振の“3冠王”。フォームの問題を克服して大活躍を見せた。楽天の岸は菊池と並ぶ116奪三振を記録したが、この期間は打線の援護がなく2勝8敗に終わった。そして、セーブはソフトバンク守護神サファテが圧倒的。楽天の松井は故障もあって10セーブにとどまった。

 日本ハムの谷元は前期最多ホールドだったが、シーズン途中に中日へトレード移籍。西武のシュリッターは前期1位タイの21ホールド、防御率1.31と大活躍したが、後期は11ホールドながら防御率4.60と成績が急落。トータルでは32ホールドを挙げながら西武がリリースしたのは、後期の成績急落が原因だろう。

 2シーズン制であれば、プレーオフは前期優勝の楽天と後期優勝のソフトバンクが対戦していた。今季リーグ2位に躍進した西武は、ポストシーズンには進出できなかったことになる。西武にとっては1シーズン制が奏功した形だ。(広尾晃 / Koh Hiroo)