シーズン中は130万人の観光客と登山者が訪れる北アルプス上高地。だが冬に足を踏み入れる人はごくわずかだ。雪で覆われた歩道についているのは動物の足跡のみ。山小屋などの宿の扉は、すべて遠い春まで固く閉められたままである。12月後半のある日、僕はそんな上高地に入った。目指すは、穂高連峰・槍ヶ岳の展望地、標高2,677mの蝶ヶ岳だ。