けっして手軽な買い物ではない山道具は、とことん使い込んで一生モノとしたいところ。でも、寿命に限りがあるというのも、登山者の安全を左右する山道具ならではだ。いつまでも使いたいけど、そうはいかないものだから、買い替え時を聞いてみた。

文◉編集部 Text by PEAKS
写真◉落合明人 Photo by Akito Ochiai
出典◉PEAKS 2017年11月号 No.96

教えてくれたのは・・・吉野時男さん

アウトドアショップ「ヨシキ&P2」スタッフ。学生時代に傾倒した競技スキーにはじまり、クライミング、沢登り、そして本格的な縦走登山からゆるハイクまで。アウトドアをジャンルレスに満喫しているオールラウンダーだ。

「フィールドに出るのは月のおよそ半分。今日持ってきたアイテムには使用年数が10年以上のものもあれば、3年程度のものもあります。使用頻度が高いと、どうしてもこうなってしまうんです(笑)」

アウトドアショップに立つ吉野さんのもとには、買い換えの判断を仰ぐべく、お気に入りの山道具を持ち込むお客さんもいるという。
高機能が自慢の山道具は、財布にとって優しい買い物ではない。長く使えるのなら、それにこしたことはないはずだ。

「もちろん、愛用の山道具があるのはいいことですよ。そうした商品に出合ってもらえたら、ぼくらとしてもうれしいですから。でも、山道具は機能が勝負どころ。発売から数年も経ってしまえば、新作のほうが高機能であることが多いです。あとは、ウエアなら2着目、3着目と買い物を重ねるにしたがって、より自分のスタイルに合ったものを見つけること。バックカントリーならバックカントリー、クライミングならクライミングというように。買い換えるのではなく〝買い足す〞という意識を持つといいかもしれませんね」

「雨で濡れてもきちんと乾かさずに、収納袋にしまったままの悪い例ですね(笑)。レインウエアはハンガーに吊るして乾かしておくことが大切。カビは根を張って、裏地へと突き抜けてしまうので注意しましょう」

購入して3年程度というレインウエア。汚れが目立っていると思いきや、斑点模様はカビだった。

「表地だけで大丈夫と判断してしまいがち。1カ所なら多少の大きさでも修理もできますし。でも、裏地を透かしてみれば、小さな穴がこんなにも見つかることがありますよ。ここまで多いと修理も大変ですし、いっそ買い換えたほうが安いくらいです」

尻の部分の表地は傷が1カ所ある程度。 それが裏地から見ると、小さい穴がたくさん開いていた。

「ソフトシェルの先駆けともいえる15年選手。たくさんのメーカーが交換を受け付けているベルクロですが、写真のようにベルクロ周りの生地の傷みが激しくなることも。袖の部分は縫製も多いので、これ以上は難しいでしょう」

ベルクロの劣化に限らず、周りの生地まで起毛してしまっている。この部分は修理が難しい。

「あまりに使い込んでいて、なんだか恥ずかしいくらいです(笑)。これはカミさんが15年以上使っているウエアなので、さすがにもうボロボロ。穴は修理できても、裏地やシームが剥がれたら、もう買い換えるべきといえます」

加水分解を起こして、裏地がボロボロと剥がれてしまっている。その使い込みぶりにアッパレといいたい。 バックパックやブーツはどうする?

「バックパックは山道具のなかでもとくに長持ちします。僕がいつも使っているものも15年選手。裏地のコーティングにさえ気をつけていれば大丈夫でしょう。一方、ブーツは2、3年に1回は買い換えています。ソールがはがれても修理はできますが、2回目以降になると限界を感じるもの。使用頻度による個人差は大きいので、細かな確認やていねいな保管を心がけたいです」

山とスキーのアウトドアショップ ヨシキ&P2 photo by Tomoharu Hirose

千葉県習志野市谷津1-13-17
TEL.047-470-8090
営業時間:10:00〜20:00/定休日:火曜日
www.yoshiki-p2.com