ギャラクシー賞月間賞:「おげんさんといっしょ」

5月4日放送
22:50〜23:50
日本放送協会


 テレビの黎明期を支えたジャンルのひとつ、それが音楽バラエティである。1950年代後半から60年代初頭にかけて「花椿ショウ・光子の窓」(日本テレビ)、「夢であいましょう」(NHK)、「シャボン玉ホリデー」(日本テレビ)などが始まり、人気を集めた。音楽、コント、トークなどを自在に組み合わせ、誰もが楽しめる洗練された娯楽を提供する音楽バラエティがテレビの歴史のなかで果たしてきた役割は大きい。

 5月4日に生放送された「おげんさんといっしょ」は、そんな音楽バラエティの良き伝統に今の時代のテレビに求められる要素を巧みに融合させ、近年下火の感もあった音楽バラエティというジャンルに新しい息吹をもたらした。その点を高く評価したい。

 例えば、昭和の木造家屋風のセットのなかで、女装した「おかあさん」役の星野源が、高畑充希、藤井隆、細野晴臣の「家族」と繰り広げる笑いは、「夢であいましょう」や「シャボン玉ホリデー」のコントのようで、懐かしさを感じさせる。

 しかしその一方で、視聴者が投稿した「くしゃみ動画」や進行役のねずみの人形(声:宮野真守)なども含めて、番組の空気感は今のバラエティらしく「ユルい」。そこに機転の利いた藤井隆のツッコミもあり、絶妙なバランスの「ユルさ」が醸し出されていた。

 もちろん、番組のメインであり、今を代表するマルチタレントとなった星野源の魅力を忘れることはできない。もともと音楽バラエティには、「シャボン玉ホリデー」のクレージーキャッツのようなマルチタレントの存在が欠かせない。そのクレージーキャッツをリスペクトし、音楽、演技、笑いと多彩に活躍する星野源は、まさに音楽バラエティにうってつけの存在である。彼のヒット曲『SUN』や『恋』を出演者とコラボした場面は、番組中の白眉であった。
 音楽バラエティの“温故知新”とも言える「おげんさんといっしょ」。テレビエンターテインメントの持つ豊かな可能性を示してくれる番組として、また目にする機会があることを切に望みたい。(太田省一)


★ギャラクシー賞月間賞とは?=NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。