ギャラクシー賞月間賞:
アナザースカイ2「出川哲朗」

11月22日放送
23:00〜23:30
日本テレビ放送網

 ゲストの「海外にある第2の故郷」や「憧れの地」などゆかりの地に赴く番組で出川哲朗が向かった先はクロアチア。今も「旅芸人」として月の半分近くは東京から離れ、日本全国はもちろん世界各地で過ごしている彼の原点だという。現在はアニメ映画『魔女の宅急便』の舞台のモデルになったのではないかと噂されるほど美しい街並み。だが、出川が25年前に訪れたときはそうではなかった。

 出川は「進め!電波少年」(日本テレビ)の国連事務総長特別代表(当時)の明石康に明石焼きを食べさせたいというロケでこの地にやってきた。彼の記憶では「ボスニア紛争」真っ只中のボスニア・ヘルツェゴビナにも行ったと思っていたが、実際にはあまりに危険すぎて国境付近までしか行けなかったことが今回のロケで判明する。当時、「電波少年」は視聴率30%を超す人気番組。ゲストで海外ロケに行ったのは出川が初めて。大抜擢だった。このチャンスを逃すわけにはいかないと命の危険を顧みず企画を成功させようと必死だった。そのときに印象的だったのが街の人々が一切笑わないことだったという。しかし現在、クロアチアからボスニアの国境に歩いて向かう出川に街行く人たちがみんな笑顔を返してくれる。「平和最高!」と国境線をまたぐシーンは印象的だった。

 かつて街の人たちが「一切笑わなかった」という記憶は、若手芸人として余裕のなかった自身の心象風景も表れているのだろう。そう思うと胸が締め付けられる。25年を経て、かつて果たせなかった「ボスニアの人たちに自分たちのお笑いを見てもらう」という企画を実行。出川のリアクション芸に最高の笑顔を見せるボスニアの子どもたち。

 「僕は笑わせようが笑われようが関係ないですよ。笑ってくれさえすればもう何でもいい」という出川のリアルな原点がよく伝わってきた。「ここが僕のアナザースカイ」という決め台詞が通行人に邪魔されたりして、何度繰り返しても、キマらないのも彼らしくて良かった。(戸部田 誠)


★ギャラクシー賞月間賞とは?=NPO放送批評懇談会が、優れた番組を自主的に選び出す制度。月間賞に選ばれた番組は、年間のギャラクシー賞審査に自動的にエントリーされる。