文=古川柳子

 長期政権の記録を塗り替えた直後の安倍首相辞任。突然ではあったが、どこかで「やっぱり……」という気持ちもぬぐえなかった。コロナ感染者数が再度急増し速やかな対策が求められるなか、安倍首相はすでに国民の前から気配を消していた。だから突然の首相辞任自体というより、その後の自民党とメディアの伝統的政局報道の展開ぶりに問うべきことは多いと感じた。

安倍退陣は
どう報じられたのか?

  最近、テレビ局も重要な記者会見をノーカットでウェブに上げている。時間枠の限界で一部しか放送できないテレビの弱点を補う方法でもあり、後に見直して会見から何が抜粋されたか確認できるのは有難い。8月28日の安倍首相辞任会見の流れはこうだった。

・秋冬に向けて実現すべきコロナ対策についての政令改正も含めた運用方針転換と、ミサイル措置に対する新たな方針をとりまとめたことの報告。

・自らの体調悪化の説明と辞任表明。

・政権期間にさまざまなことに挑戦し結果を出せたが、拉致問題、ロシアとの平和交渉、憲法改正は解決できずに無念。次期体制が引き継ぐことへの期待。

 その後記者からの質問に答えて、政権が達成できたこととして「東北の復興、3本の矢政策で実現した雇用拡大、保育の拡充、一億総活躍社会への道筋、日米同盟の強化をはじめとする外交的成果」をあげた。森友・加計・文書管理等の問題に対する説明責任についての質問には「政権内で文書管理ルールも検討し国会でも長時間答弁したのであとは国民の判断」とした。