『Vecter』1年間の開発でどれだけ進化したかをまとめた映像。10月15日、完全無料ゲーム『Vecter』がPC(Steam)向けに正式リリースされました。先日「どのメディアも取り上げないゲームを遊びにおいでよ…」という作者自らの宣伝とともにご紹介した本作ですが、本稿ではそんな『Vecter』のレビューをお届けします。難易度の柔軟性本作は、自機の速度と左右を操作し、障害物が散りばめられた道を進みながらハイスコアを目指すゲームです。道を進んでいくにつれ、障害物のバリエーションや登場頻度、配置の厄介さが増していきます。本作は速度に関して(一部ゲームモードを除き)かなり寛容な設計となっているのが特徴で、一般道の法定速度レベルからワープ寸前の宇宙船のような超高速まで調整できます。残機があり余っているときは「↑」キー長押しでかっ飛ばしたり、厄介な障害物群に出くわしたとき、あるいはもう後がないときは「↓」キー長押しで安全運転にしたりといった風に、かなり柔軟に難易度を調整できるのです。また「Space」キーを押すと、スコアを消費してショットを放つことも可能。このショットにより障害物を破壊して道を切り拓き、同時にスコアを得られます(破壊する障害物の種類によって得られるスコアが異なります)。無駄弾を撃つとそれだけスコアを失ってしまうので、障害物に確実に当てるようにするのが良いでしょう。スコアを得る方法としては、「ステージ上のジャンプパッドを踏んでジャンプする」「ステージ上のボーナスポイントを通過する」「残機を入手する(既に満タンの場合、取得スコアがさらにアップ)」「障害物をギリギリのところで避ける」「障害物をショットで破壊する(大きい・壊しにくい障害物ほど高ポイント)」「スカイウェイに乗る」などが挙げられます。安全運転で移動しながら着実にスコアを稼いでいく、というプレイも可能です。YouTubeやMP3ファイルの追加機能Lex Dumitru氏の手掛けたサウンドトラック。ワイヤーフレームで描かれた80年代SF的なビジュアルやUI、Lex Dumitru氏の手掛けたサウンドトラックはいずれも『Vecter』特有の世界観を定義づけています。しかしそれでも、繰り返し触れるたびに「ああ、またこれか」となっていってしまうものです。ですが本作にはYouTube再生機能とBGM(MP3形式)の追加機能が備わっているため、自分の好きなようにゲームをカスタマイズし、飽きがこないように工夫できるようになっています。好きなレーシングゲームのオリジナルサウンドトラックからMP3ファイルを入れるもよし、(ゲームオーバーになると最初から再生されることを利用して)英会話のレッスン音声を繰り返し聞いて頭に叩き込むもよし、BBCの地球ドキュメンタリー(YouTubeチャンネル)を背景に雄大な雰囲気の『Vecter』を楽しむもよし。これらの機能をフル活用すれば、自分だけの『Vecter』体験も作り出せそうです。YouTube再生機能を活用すれば、ペンギンの大群とともに海を泳いでいるような気分にもなれます。シロディールの世界で『Vecter』をプレイすることも。もう少し綺麗な動画を選べばよかった……。収益化構造を持たない「完全無料」広告表示、マイクロトランザクション、武器・キャラスキン、ガチャ、ルートボックス、プレミアムバトルパス、有料追加マップなど、時代とともに複雑化・多様化の一途を辿る「基本」プレイ無料タイトルの収益化構造ですが、本作はそういった収益化構造を一切持っていません。開発者のTaranasus氏は、自身の資金が底を尽きるか、あるいは本作のプレイ人口が0になるまでこの姿勢を貫くと宣言しています。Game*Spark読者の皆様は、Yahoo!やGooの検索欄に「ゲーム 無料」と打ち込み、血眼になって国内外のフリーゲームや体験版を探した、あの少年・少女時代を覚えていらっしゃるでしょうか。筆者はハッキリと覚えています。この『Vecter』は、まさにその時代からタイムスリップしてきたような、非常に純度の高いフリーゲームなのです。しかし、リーダーボード(全世界のプレイヤーのハイスコアを表示するオンライン機能)のサーバー維持など、どうしてもお金がかかってしまう部分があるのも事実。そんな『Vecter』を支援したい、というプレイヤーのためにDonation DLC(520円)、PatreonページでのPatron登録(月1ドル、約105円)、Ko-fiでの寄付(3ポンド、約420円)といった方法が用意されています。まとめTopDogモードでランキング9位に入り込んだ筆者。本作は、スマートフォン向けのF2Pランゲームのような強制的な難易度上昇がなく、自分のペース・プレイスタイルで楽しめる作品です。またYouTube映像やMP3形式のBGMを再生できるため、ある程度自分の好みに合わせてカスタマイズすることも可能。そして「基本プレイ」無料ではなく完全無料なので、課金を前提としたゲームシステムと一切無縁なのも(今となっては)新鮮です。ただし、成長要素やアンロック要素といった現代的な小細工が少ない分、飽きが来るのも早くなっています。総評:★★良い点・スピードを調節することで、自身のプレイヤースキルに合わせて楽しめる・背景にYouTubeの動画を流したり、BGMプレイリストに好きなMP3ファイル加えられたりと、カスタマイズの幅が広い・徹底した「無料」の姿勢悪い点・シンプルなゲームルール故、飽きが早くなりがち

「Game*Sparkレビュー」ではハードコアゲーマーなライターから読者に向けて、オリジナルレビューをお届けします。対象となるタイトルはAAAからインディーまで、ジャンルやプラットフォームを問わず「ハードコアゲーマーのアンテナが反応するゲーム」です。このレビューでは、3段階評価をベースに「良い点」「悪い点」を挙げながら総評を下します。最低評価は「難アリ/オススメできない」、中評価は「ふつう/そこそこオススメ」、最高評価は「とても面白い/とてもオススメできる」に当ります。「プレイレポート」として公開している記事では、本企画と同様の評価を付けません。また、記事の性質上、ストーリーなどの「ネタバレ」を含む場合がありますので、閲覧の際はご留意ください。レビュー記事に使ったゲームは「編集部およびライターが購入した物」であり、デベロッパー/パブリッシャーから提供されるゲームソフトは利用しません。また、「Game*Sparkレビュー」は「PR記事」と一切の関係を結ばず、すべての評価内容がライターの価値観に基づきます。特定の企業やプロモーション、ユーザーコミュニティにも影響を受けません。なお、マルチプラットフォームで展開されている作品においては、対応している機種のうちのひとつのエディションのみをプレイし、評価します。そのため、本文内でプレイした際の使用機種についても明記しています。