※注意!この記事はストーリー上のネタバレを一部含みます。なお、本レビューにはPS5(PS4版)を使用しています。CD PROJEKT REDより2020年12月10日に発売された『サイバーパンク2077』は近年最もユーザーから期待されていたゲームの一つといえるでしょう。もちろんこれらは同社の過去作から生まれた信用でもありますし、心配になるほど大言壮語する広報宣伝活動に因るところもあります。何と言っても、あの『ウィッチャー3 ワイルドハント』(以下『ウィッチャー3』)を作った会社が8年以上の歳月を費やして作ったゲームですから、期待しないでいるのは無理というものですし、ハードルを下げて待てと言うのは酷であります。筆者もそんな楽しみにしていたユーザーの一人です。私はどんな事象に対しても基本的には期待しない性格なのですが『サイバーパンク2077』だけは無理で、延期の報告を聞くたびに憂鬱になり、いよいよ発売となる12月10日の数日前からは落ち着きが無くなりソワソワとしてしまいました。当然のこととして、本レビューは期待のこもった非常に厳しいものになることをまずここで宣言したいと思います。前述した通り私の『サイバーパンク2077』への期待値は非常に高くなっていますが、何事もそうであるように高すぎる期待値は目を曇らせてしまいます。そのため、今回はレビューという大役を遂行するにあたり、3つの視点と1つの基準から『サイバーパンク2077』を分解して論じ、評価していきたいと思います。まず3つの視点を明かしましょう。3つの視点とは「オープンワールドRPGとしての面白さ」と「グラフィックの品質」そして「ストーリーについて」です。「オープンワールドRPGとしての面白さ」はゲームシステムやUI等の快適性、戦闘等ゲームの根幹にかかわる大黒柱についてです。「グラフィックの品質」では描画の美しさや雰囲気の他、キャラクターデザインやフレームレートについても論じていきます。最後に「ストーリーについて」では、『サイバーパンク2077』で描かれる物語を核心的なネタバレは極力避けて論じていきます。もちろん、単純に物語に引き込まれたかについても言及しています。そして1つの基準とは『ウィッチャー3』です。この作品は本稿でレビューする『サイバーパンク2077』を開発したCD PROJEKT REDが約5年半前の2015年5月に発売したアクションRPGゲームであり、その高い完成度からRPGの歴史的転換を果たしたという意味で、RPGゲームの記念碑的作品となった最高傑作と言っても過言ではありません。実際、その後に発売されたRPGは『ウィッチャー3』から多大な影響を受けているといえるでしょう。そうした歴史的理由から、世界観が全く異なる作品ではあるものの、同じアクションRPG作品として今回は『サイバーパンク2077』が『ウィッチャー3』という高いハードルを超えることができたかについて解き明かしていきます。なお、冒頭にも記載したとおり、本レビューにあたってはPS5(PS4版の後方互換)を使用しました。今や新規購入すらできなくなってしまいましたが、問題の経緯やPS4におけるプレイフィールにも触れ、総評をまとめています。「オープンワールドRPGとしての面白さ」1.自身を強化する要素について―多様な選択肢とプレイ傾向の反映本作は一人称視点で銃を主に使用するFPSゲームではありますが、シューター要素以上に能力を強化していくRPGとしての面白さが追求されています。能力強化はレベルアップによって1個ずつ獲得する能力値ポイントとパークポイントを振り分けるほか、プレイスタイルに合わせて能力値ポイントが上昇するという形式になっており、例えば、ハッキングをたくさんすればハッキングの能力が上がっていきます。この能力強化システムはプレイ傾向や努力が反映されるという意味で楽しいですし、世界観にもあっています。つまり凄腕のハッカーになるには、ゲームの世界でプレイヤーがハッカーらしく振舞う必要があるのです。また、能力強化システムの他にインプラントを埋め込む肉体強化システムもあります。インプラントは一般的なRPGの防具や装備品に当たるものですが、一般的なRPGより多くの選択肢があり効果も多岐にわたる分、自由度が高くなっています。2.戦闘要素について―本作唯一の明確な欠点端的に言って、本作は戦闘要素に様々な問題を抱えています。ポジティブな評価として、銃を撃つ際やキャラクターを動かす際の操作感は一般的なFPSゲームと比べても遜色ありません。銃撃にハッキングや格闘の要素が合わさり、サイバーパンクの世界観を取り入れた野心的なものに仕上がっています。また、銃のレベルによってダメージ量が大きく異なり、銃弾を何発も浴びせても生身の人間が死なないという本作のシステムはFPSゲームとしては違和感を覚えるものの、RPGとして見るとさほど違和感なく受け入れられます。一方で、近接武器で攻撃してくる敵に多大なストレスを感じました。攻撃力の高い近接武器を使う敵は、その代償として攻撃のために遮蔽物から飛びでてこざるを得ません。一般的なFPSゲームにおいて敵は基本的に2〜3発で倒れるため、倒しやすいが攻撃されると厄介という因子は、プレイヤーが標的を選択する動作を迫られることで緩慢になりがちな集団との戦闘に飽きること無く、緊張感をもって楽しめる要素となります。ですが、本作はFPSゲームというよりはアクションRPGに近く、銃弾を何発も浴びせてもなかなか倒れません。つまり、固くて攻撃力の高い敵が突進してくるのです。これでは集団との戦闘に駆け引きが生まれず、むしろストレスを強いる要素になりかねません。加えて、遠距離から隠れて攻撃してくる敵ハッカーの存在も鬱陶しく、ハッカーに攻撃を加えるには結局周囲の敵を排除しなければならないという点で存在さえ疑問視されます。稀に遭遇するユニークなボス敵との戦闘は特に問題が多く、特に近接攻撃を得意としているボス敵との戦闘は全く面白く感じられませんでした。筋力に優れ光学迷彩を備えたボス敵が高速で駆け回り、ノックバックもせずに一瞬でプレイヤーの懐に潜り込んで攻撃してくる戦闘には駆け引きの要素がありません。おそらく使うべきであろう緊急回避のアクションも、しゃがみボタンを連続2回押しという操作の影響で戦闘中にしゃがんでしまう誤操作が多く、非常に使いづらくなっています。全体的に高品質で大きな欠点の無い本作において唯一明確な欠点が存在するのが戦闘要素と言えるでしょう。3.UIのデザインとクエスト進行マップやスキルツリー、クエスト進行表といったUIのデザインは同社の前作『ウィッチャー3』と基本の作りが似ており、発展をあまり感じません。マップはショートカットキーがあり簡単に閲覧できますが、頻繁に確認することになるマップとジャーナル(クエスト表)間の移動にはスキルツリー画面が挟まっており、快適性がそがれています。また、アルファベットを基準にしているからか日本語で読むには文字が小さすぎるようにも感じました。総合的にUIのデザインは特筆すべきこともなく、平凡な物にとどまっていると言えます。オープンワールドゲームにおいて重要な役割を果たすマップですが、本作のマップ構造は画期的です。街や村が平面的に拡散し、移動の際にファストトラベルを使うことで広大なマップを結局は小さく使用していた既存のオープンワールドゲームと比べて、平面的な面積を圧縮し高さを加えた構造にすることで移動の距離を短くして街を自分の足で移動するというゲームデザインにしたのは、大きな発展と言えるでしょう。クエスト進行に関しては、能力の個性に応じて様々な進行ルートが用意されています。例えばゲーム序盤で発生するサイドクエスト「ラ・マンチャの女」では、一定以上の技術レベルを持っていれば目的地の部屋のドアを開錠できますが、そのレベルに達していなくとも下の階から部屋に入ることができます。様々な進行ルートの存在は本作の能力強化要素と噛み合い、楽しさの相乗効果をもたらしています。気になったのはミニマップや画面の指示マークです。様々な進行ルートが用意されているためか指示マークが参考にならない場合があり、これは大きなストレス要素となりました。実はこのマークは間違いで、右横の配管を辿ることで目的地に到達できます。また、他に気になった点としてクエストのレベルに関する問題が挙げられます。本作では街中で突発的に開始するクエストがあるのですが、そのクエストのレベルがプレイヤーのレベルに合ってない場合、途中まで進行させたにも関わらず中断せざるを得ません。1ボタンで突発的に発生したクエストをフォーカスし、プレイヤーをクエストへとスムーズに移行させる工夫がされているにも関わらず、いざ途中まで進行させると適正レベルが高すぎ(たいていは戦闘で気が付く)で進められない。という体験の多発はストーリーに特に力を入れている本作において残念な要素です。FPSだからこその問題として、武器や装備品の強化にはスクラップが必要で、これらはワールド中で拾えるのですが、大量の小さなスクラップ一つ一つに視点を合わせなければならないのは少しゲームプレイを冗長なものにしていました。4.オープンワールドRPGとしての面白さ―『ウィッチャー3』と比べて『ウィッチャー3』と比べると装備品が服以外に、インプラントや義体等多岐にわたり、能力の強化もバリエーションが豊かになりました。また、戦闘に関しても剣を使う3人称視点とFPSでは比べにくく、FPSというジャンルに起因する欠点も多いですが、確実に言えるのは本作においてプレイヤーがとれる行動の幅は大きく発展したということです。『ウィッチャー3』では剣と魔法で倒す以外に基本的には選択肢がありませんでしたが、今作ではハッキング、銃撃、ステルス、格闘等目的に合わせて様々な戦闘スタイルを選択できるのです。オープンワールドの立体的なマップ構成も含め、『サイバーパンク2077』は順当に発展したと言っていいでしょう。一方で、敵の種類に関してはむしろ退行しています。『ウィッチャー3』では特に高難度の場合、「大百科」にある「怪物図鑑」からモンスターに関する辞典を読み、モンスターの弱点や効果のある霊薬を準備するという一連の行動がプレイヤーを世界観へと没入させるきっかけになっていました。『ウィッチャー3』ではモンスターに関する様々な用語や知識がそのままゲームシステムに結び付いていたのです。しかし、『サイバーパンク2077』は基本的に人間以外の敵が出てきません。稀に戦闘マシーンと融合したような敵が出てくることもありますが本当に稀で、『ウィッチャー3』のように個性ある敵と戦うという戦闘の楽しみは大きく減少しています。また、敵AIに関しても期待値に達しているとは言えません。場末のギャングもアラサカ社特殊部隊員も基本的には同じ動きをするため、単調であると言わざるを得ず、さらに不具合のためか棒立ちの敵が多く見受けられました。敵AIに関して『サイバーパンク2077』は平凡かそれ以下のレベルに収まっていると感じます。「グラフィックの品質」1. 世界観を完璧に構築した最高の舞台先ほども触れましたが、ゲームの舞台となるオープンワールドの品質は最高です。各オブジェクトは緻密で繊細に作られており、それでいてサイバーパンクという猥雑でいい加減な世界感が完璧に再現されています。細部へのこだわりはコアなサイバーパンクやSFファンをも唸らせる出来と言えるでしょう。マップは地区ごとに分かれており、それぞれの地区は支配するギャングや文化が異なるものとなっています。単純なビジュアルに加え、立体的な都市部や平面的な外縁部といったような高低差を付けることで差別化された街並みは一目でその地区がどこか分かるほどです。2.キャラクターデザインキャラクターデザインも魅力的です。例えば「T-バグ」は淡々とした面もある冷静沈着なネットランナー(凄腕ハッカーのようなもの)という設定のキャラクターなのですが、華美な装飾を徹底的に排したデザインは彼女の個性を際立たせています。また、服装はゲーム性にも寄与しており、ギャングによって異なるデザインはプレイヤーが今誰と戦っているのかを把握するうえで重要な手がかりとなっています。外面は内面の一番外側とも言いますが、その人や集団の性格に加え哲学をも感じさせるデザインはプレイヤーを効果的にゲームへと没入させており、完璧です。3.コンソール版の最適化問題CD PROJEKT REDが返金対応をしているように、本作のPS4/Xbox One版において様々な問題が発生しているのは皆さまもご存じの通りですが、筆者も確認のためにPS4でもプレイしてみました。率直に言って、約7年前のハードであるPS4にはこの魅力的なオープンワールド世界を緻密に描画するだけの性能が無かったようです。試しに接近するとテクスチャは曖昧としており遠景はのっぺりと見え、少し距離を空けると影が適用されずがっかりさせられます。また、近づいてもキャラクターが表示されなかったり、ネオンサインが表示されなかったりします。主にプレイしたPS5でも、影の描画や遠景描写は期待以下の出来に感じました。PS4でのゲームプレイが専らの話題にはなりますが、PS5でも1時間半から2時間ごとにアプリケーションエラーになりました。挙動やオブジェクトのバグなどは他の大作オープンワールドゲーム(『Fallout 4』等)と比べて特筆して多くありませんでしたが、オブジェクトやキャラクターが多く表示される場面でエラーが多発する印象があり、これにより夢中でプレイしていたゲームの世界から強制的に引き戻されます。筆者はそれほどエラーへのフラストレーションを感じ無かったのですが、これはPS5の比較的早いロード速度(ゲーム起動から操作可能までちょうど1分)に依るところが大きく、人によっては大きな不満点、あるいはとてもゲームをプレイできるレベルではないと判断されてもおかしくないでしょう。フレームレートについては、PS5でプレイしている限りは違和感が無かったものの、比較のためにプレイしたPS4では戦闘時に一時的に止まる場面も見受けられ、プレイするうえで深刻な足かせとなるといえるでしょう。最適化不足によるこうした問題を隠し、あたかもPS4で問題なく遊べるかのように宣伝した点は誠実とは思えません。改めて2020年11月24日に公開された「Cyberpunk 2077 &ndash; PlayStation Gameplay」を確認するとPS4のみ戦闘シーンが存在しません。12月18日にはPS Storeでの販売が停止されており、現在はパッケージ版を購入する以外、新たにコンソールでプレイすることはできません。この対応に関しては、不具合や最適化不足のほか、PS4/Xbox Oneのゲームプレイにおける問題をきちんと公開しなかったCDPRの姿勢は批判されてしかるべきですが、PS5に限って言えば個人差はあれ筆者としては普通に遊べる状態であったために残念な思いです。一方で、PS4版ではそうした問題がプレイに深刻な影響を及ぼしており、販売停止という判断は妥当なものであると感じています。4.グラフィックの品質―ウィッチャー3と比べて全体的に見た時、グラフィックの品質は『ウィッチャー3 ワイルドハント』と比べて上がっています。細部のオブジェクトはもちろん、ライティングや豊富なレンズフレアにより表示されるテクスチャの品質以上のグラフィック品質に見える工夫がなされています。一方で、FPSだからこその問題としてオブジェクトと視点の距離が近く粗が目立つという点が挙げられます。TPSで視点が離れていた『ウィッチャー3』に比べて大きく進歩しているように見えないのはこのためでしょう。また、場所やテクスチャの読み込み状況によっては近くのオブジェクトでも品質が低くなる場合があり、安定しません。さらに、影の描画距離が短く、遠景(というより中距離)になるとテクスチャが荒くなります。建物の密度が低かった『ウィッチャー3 ワイルドハント』と比べて、『サイバーパンク2077』は構造物が密集しているため、低い遠景の品質が目立っているというのも、進歩しているように感じられない理由でしょう。全体としては『ウィッチャー3 ワイルドハント』に比べ美しく発展しているものの、FPSというゲームジャンルやマップ構造の問題により特筆して美しいと感じられませんでした。「ストーリーについて」ストーリーは全体的に素晴らしいもので、中でもメインストーリーは序盤からクライマックスと言っても良いほど激しく躍動的な演出となっており、その後も迫力あるシーンや興味深く奥深いストーリーが続きます。サブストーリーはメインストーリーに比べると演出が落ち着いている傾向がありますが、バリエーションに富み、文章で魅せるといった物が多くなっています。メインストーリー、サブストーリー双方ともSFをゲームでやっている、というよりはゲームだからこそ出来るSFとなっています。例えば、メインストーリーでは主人公の精神にジョニー・シルヴァーハンドという人物の精神が流入してしまうというメインプロットがあるのですが、これは主人公が次第にプレイヤーへと染まっていくというゲームだからこそのメタ的な恐ろしさを演出できており、ある人格が他者を操作するという行為を日常的に行っているゲーマーにとってはピッタリな題材です。もちろん、『ウィッチャー3』に引き続き選択の重さもストーリーの素晴らしさを更に引き立たせています。分かりやすく単純な善悪には基づかない、場合によっては善悪をも超越した選択肢さえ提示し、考えさせる体験はプレイヤーを本作の世界に真剣に向き合わせます。物語の分岐に関してもプレイヤーの選択で様々な登場人物の運命が変わり、十分に感じました。些細な欠点を述べます。これは本作だけでなく、一般的にSFに特有の問題なのですが、序盤は聞きなれない膨大な量の単語についていけなくなりそうなことがありました。本作も例外に漏れず序盤から大量の人名や企業名、ギャングに加え薬品名や技術用語が頻出します。用語辞典は完備されており、私はこうしたSF設定が好きなので大量の用語はむしろ楽しい要素でもありますが、苦手な方もいるでしょう。一気に登場する人物や組織により、序盤は主人公がなぜこのような行動をするのか、といったストーリーの主軸を把握しにくくなっているかもしれません。ですが、ストーリー上の欠点はその程度で、ほとんど完璧と言っていい出来です。対して、ギャングに関するストーリーには疑問符が付きます。例えば、とある人物からの依頼で日系のヤクザであるタイガークロウズのメンバーと派手に戦った後、タイガークロウズと繋がるフィクサーであるワカコから依頼されたクエストを開始できてしまいます。もちろん戦いに関する言及はありません。ギャング以外にも、素晴らしい世界観の中には様々な組織が存在するにも関わらず、ストーリーにほとんど関与しないのは残念なポイントです。格好いいマックスタックも世界観を象徴するトラウマチームも背景と化しており、プレイヤーには装備すら与えられません。組織に関するクエストや勢力間の駆け引きといった要素が無いのはメインのストーリーが素晴らしいだけに少し違和感を覚えました。『ウィッチャー3』とはジャンルが異なるため、ストーリーを直接比べるのは難しいですが、一つ言えることとして『サイバーパンク2077』では動的で躍動的な演出が多用されています。例えば、軍事用装甲AV(戦闘飛行艇のような乗り物)の弾幕をかいくぐりながら飛び降り、ビルのガラスを割るといったハリウッド映画のような演出が多くあります。こうした演出は『ウィッチャー3』から大きく発展した点と言えそうです。一方で『サイバーパンク2077』は『ウィッチャー3』に比べてメインストーリーのボリューム自体は少なくなっています。そのため、メインストーリーのみをプレイしていると物語の展開が急すぎてついていきにくくなるでしょう。また、サブストーリーを進めたとしても、『ウィッチャー3』のように様々な組織や人物の思惑が織りなす策謀を渡り歩く、というよりは狭い世界で活動するストーリーが多く、ナイトシティという最高の舞台に様々な組織が用意されているにも関わらず、今一つ世界観に奥行を感じることが出来ませんでした。この問題は先ほども述べた、様々な組織が登場するにも関わらずそれらの組織が上手く描写されていない点も足を引っ張っているように感じます。総評―全体としては素晴らしいが細かな欠点と大量の不具合が影を落としている繰り返しになりますが『サイバーパンク2077』は素晴らしいゲームです。「オープンワールドRPGとしての面白さ」「グラフィック」「ストーリー」の全てが高くまとまっており、サイバーパンクの世界観を好むプレイヤーであれば満点を付けても不思議ではないゲームとなっています。戦闘要素をはじめ、細かな欠点は気にかかるものの、それら以外は完璧と言って良く、本作の魅力的な世界観に浸ることが出来れば夢中になれるゲーム体験は約束されています。一方で、ゲームプレイの最中に遭遇する大量の不具合はせっかくの素晴らしい体験に影を落としています。多くのバグは手を横に広げて体操をしている様な姿勢で立ち、車が大規模な交通事故を起こすと言ったシュールなものや、定期的にオプションが勝手にリセットされるといった煩わしいもので、進行に影響が出るといった致命的なものではありませんが、没入していた世界が狂い、エラーで現実に引き戻された際は落胆してしまうでしょう。主要なゲームプレイが面白いだけに、これらは非常に惜しい点です。12月24日にはホットフィックス1.06が配信されており、筆者の体感としても安定性がますます向上したように思いますし、今後も多くの不具合が改善されていくことが予想されますが、根本的な最適化不足の問題をどうしていくかに期待したいところです。CD PROJEKT REDが5年半前に送り出した『ウィッチャー3 ワイルドハント』で完成されたかに思われたストーリー進行は、SFというジャンルと不自然なくマッチするメタ的な視点という要素の追加でさらに魅力的で奥深いものとなっています。この素晴らしいストーリーを盛り上げる演出やRPGとしての面白さが強化された能力要素、そしてマップの構造を既存のオープンワールドゲームから大きく発展進化させた本作は、プレイヤーを2077年の荒廃したサイバーパンク世界へ引き込んで離しません。本レビューでは欠点も多く述べてきましたが、PS5におけるプレイに限定すればそれらを些細な物と思わせるだけの魅力も備えています。『サイバーパンク2077』は間違いなくストーリーを主軸としたオープンワールドRPGとしてファンタジーを舞台とした『ウィッチャー3 ワイルドハント』と並び立つ最高傑作であり、SFオープンワールドRPGの到達点と言えるでしょう。PS5でプレイした場合の総評:★★★PS4でプレイした場合の総評:★☆☆良い点・世界観にマッチし、ゲーム性にも合致した能力強化・素晴らしいオープンワールド世界・徹底した世界観の構築・惹かれるキャラクター達・引き込まれるストーリーとワクワクする演出悪い点・他の要素に比べて平凡で、面白く感じられない場面もある戦闘要素・大量の不具合・コンソール版の最適化不足【編集部より:『サイバーパンク2077』レビューについて】通常1ゲーム1レビューというルールで運用しているGame*Sparkレビューですが、発売前にライター陣よりレビューを執筆したいという要望が多かったこともあり、1レビューで網羅的に本作を評価することに執着せず、複数のライターが多様な視点を伝える方向で調整していました。ところが既にお伝えしているようにコンソール版は返金騒動になるなど大きな問題になっており、本稿も当初ならもう少し早めに掲載する予定でしたが、状況を確認しながら内容を調整して掲載にいたりました。ここまでの問題になっているにも関わらず評価ができるのか、という根本的な問題については編集部内でも議論がありましたが、今楽しめている感覚をありのままに伝えることを優先しました。図らずもプラットフォーム別のレビューを出す形になりましたが、後日PC版でのレビューも掲載予定ですので、レビュアーの視点の違いもあわせてご覧いただければ幸いです。なお、<cms-pagelink data-page="2">レビューのお約束</cms-pagelink>でも記載している通り、本レビューは広告とは一切関係を結ばずレビューに使用しているゲームも自費で用意しています。

「Game*Sparkレビュー」ではハードコアゲーマーなライターから読者に向けて、オリジナルレビューをお届けします。対象となるタイトルはAAAからインディーまで、ジャンルやプラットフォームを問わず「ハードコアゲーマーのアンテナが反応するゲーム」です。このレビューでは、3段階評価をベースに「良い点」「悪い点」を挙げながら総評を下します。最低評価は「難アリ/オススメできない」、中評価は「ふつう/そこそこオススメ」、最高評価は「とても面白い/とてもオススメできる」に当ります。「プレイレポート」として公開している記事では、本企画と同様の評価を付けません。また、記事の性質上、ストーリー等の「ネタバレ」を含む場合がありますので、閲覧の際はご留意ください。レビュー記事に使ったゲームは「編集部およびライターが購入した物」であり、デベロッパー/パブリッシャーから提供されるゲームソフトは利用しません。また、「Game*Sparkレビュー」は「PR記事」と一切の関係を結ばず、すべての評価内容がライターの価値観に基づきます。特定の企業やプロモーション、ユーザーコミュニティにも影響を受けません。なお、マルチプラットフォームで展開されている作品においては、対応している機種のうちのひとつのエディションのみをプレイし、評価します。そのため、本文内でプレイした際の使用機種についても明記しています。