トレジャーハンティングの要素を持つハック&スラッシュ系RPGの古典にして、いまだ多くの熱狂的ファンを抱えるシリーズといえば『Wizardry』。過去、『Wizardry 囚われし魂の迷宮』といったシリーズの正式タイトルや、あるいは『剣と魔法と学園モノ。』などのフォロワーを手掛けてきたアクワイアから、PlayStation 4/ニンテンドースイッチ向けに新たにリリースされたのがこの『残月の鎖宮』です。

和風×古典回帰×3Dダンジョン、そしてハクスラの原点を謳う本作。これは『Wizardry』好きならさわってみるしかねえ! というわけで、本記事では、FC時代からの『Wiz』好きライター(一番好きなのはGBの『外伝』シリーズ)がさっそくおさわりしてみた感想をお届けするとします! ちなみにプレイ時間は、記事執筆時点で10時間ほどで、4つ目のダンジョンを攻略中。あくまでクリア済みでの感想ではなく、途中経過のインプレッションという旨でお許しいただきたい。

さてさて、『残月の鎖宮』の感想は一言でいうと、『Wiz』など高難度なタイトルが持つ尖った部分をまろやかにした、比較的マイルドな作品であるということ。ここは、(ジャンルのファンであるほど)ハッキリと好き嫌いが分かれる部分なので最初に特記しておきたいです。

HPや呪文使用回数は地上に帰った時点で全回復する
アイテム鑑定は地上に帰った時点で自動的に全判明
ダンジョン中でも全職業で鑑定可能(得意な職もある)
オートマッピング有りで、ミニマップも常時表示される
中盤習得可能な帰還呪文はリスクなく使える
キャラメイキング時のボーナスポイントリセマラが簡単
善悪のパーティは待ち合せなく編成可能

などなど、煩雑だった作業行為はほとんど省略されています。そういう煩雑さが味わいだった、想像力を刺激された、という否定的意見ももちろんあるでしょう。

しかし今回、『残月の鎖宮』があえてそれらをオミットしたのは、古典RPG的なハック&スラッシュの原点の魅力に重きを置いたからだと思っています。すなわち、ダンジョンに潜り、敵を倒して財宝を持ち帰る。そして、冒険と常に隣り合わせにある灰とキャラロストへの恐怖。その大事な根本は変えずに、略すべきは略する決断に挑んだ作品かもしれません。

また、戦闘の高速化や、前ターンの行動繰り返し、総本部(いわゆる訓練所)に行ってもパーティが解散されないなど、とにかくプレイアビリティの向上を図っている点も見逃せないスムーズポイントだったりします!

キャラメイクありの3DダンジョンRPGで何より楽しいのがパーティ編成。和風世界観の本作では、いわゆる人族となる常人(ツネビト)を始め、小柄ながら屈強な達磨夫(ダルマフ)、知性あふれる霊巫(エルフ)、素早く幸運な小人族である窟法人(クツホウビト)、素早さと知力に長けた猫人の四智猫(シチネコ)、鬼の血を引き剛力と抵抗力に優れる金剛人(コンゴウビト)といった6つの種族がベースとなります。すべて漢字名ながら、あの種族モチーフかな!?と直感的にわかるわかる。

ジョブも同じく、闘兵、斥夫、法術士、魔術師、侍、門狗、白騎士、忍者、賢者といったもう名前でピンと来るであろう9職道。

なかなか面白い点として、職業に性格の制限はなく、能力値のみでその職道に就くことができます。じゃあ性格が何に影響するかというと、一部の技に性格の制限があることと、呪文の効果への影響です。先に技制限を説明すると、例えば門狗の聖属性攻撃“塩まき”は善属性のみ使用可能といったものです。すべての職道の技を把握してない現状ではどの職にどの性格の技が多いかはわかりかねるのですが、忍者とか白騎士とか怪しいですよね…!

で、善悪の差で最も大きな要素が呪文の効果への影響です。善は回復呪文の回復量が上昇し、復活の確率が上がる。悪は攻撃呪文のダメージが上がる代わりに復活の確率が下がる。そして中立は影響無し。善は安定性のメリットがあり、悪は灰リスク&ハイリターンなのです。善悪混合が可能なので、回復系は善、攻撃魔法系は悪…というのが良いのかもですが、そうすると友好的なモンスターとの遭遇でうっかり善悪が反転してしまう可能性も。

ちなみに筆者は悪パーティで挑んだものの、最初の戦死者(悪属性の魔術師)がそのままロストしてしまい、復活費用×2で非常に手痛い出費のあげくのキャラ消失という大惨事を経験。これだよなあああああと悶絶したものです、はい。

それと職業編成の面白みになっているのが、転職が比較的容易なこと。これはキャラクターに年齢の概念がないことと、転職時の能力低下デメリットが抑えられていることに加え、職道の技を引き継げるメリットも大きいです。火力の高い侍の技を覚えてから、HPの高い闘兵に変わる、門狗で自己回復や防御面の技を集めてから魔術師や賢者に変わる…といったカスタマイズの自由さがよいぞよいぞ!

ダンジョンの手応えに関してですが、こちらは3つ目までは3DダンジョンRPG経験者にとってはチュートリアルレベルではないでしょうか。仕掛けで迷うことはほぼ無く、ダンジョンには町への短縮経路がさまざまに用意されています。しかし4つ目のダンジョンから謎解きや戦闘面も本格化。前衛の単体攻撃オートでほとんど済んでいたモンスターたちも、状態異常やブレスが一気に増えてそれぞれに適した対応が求められるようになってきます。

ただ、各ダンジョンにおけるドロップアイテムの幅が狭く感じられるのはやや残念で、各ダンジョンで最初のうちは装備の更新に一喜一憂できるものの、やがて同じアイテムを大量に拾い続けることになり、宝箱を開ける楽しみが低下ぎみに。まだ見ぬ終盤ダンジョンでの低確率レアアイテムなどに期待したいとこですが!

また、本作の特徴となっている墨絵のような和風グラフィックは、世界観への没入感に大きな役目を果たしているものの、白黒の背景は床のレバーなど、ダンジョンのギミックの判別にはマイナスに働いているように感じました。とくにミニマップを見ながら移動するタイプのプレイヤーにはうっかり見落としがあるあるかもです!

と、そんな感じの『残月の鎖宮』。テンポの良さとキャラ育成の妙は過去の3DダンジョンRPG系ハクスラゲームのなかでもなかなか良好な部類で、しっかりしたチュートリアルも含まれた序盤難易度の穏当さは同ジャンルの未経験ユーザーにとってもとっつきの良いものではないでしょうか!

『残月の鎖宮』はPS4/ニンテンドースイッチ向けに3,520円で発売中。Steamでも2023年初旬に配信される予定です。