ハードコアゲーマーのためのゲームメディアGame*Sparkでは、日々、様々なゲーム情報をご紹介しています。しかし、少し目線をずらしてみると、世の中にはゲーム以外にもご紹介したい作品が多数存在します。そこで本連載では、Game*Sparkスタッフが、ゲーマーにぜひオススメしたい映画/ドラマ/アニメ作品を1本紹介していきます。

今回ご紹介するのは、人工知能(AI)の未来を描いたアレックス・ガーランド監督の映画「エクス・マキナ(原題:Ex Machina)」(2015)です。

最先端テクノロジーの恐怖
日々進化を続けているのが人工知能(AI)技術。いまや家電、自動車、スマホなどに搭載されるほど、わたしたちの身近な生活に溶け込んでいますよね。AIは、古くから映画、アニメ、ビデオゲームにさまざまな姿かたちで登場し、まだまだ実現不可能である未来のAI技術を映し出してきました。時には、ドラえもんや鉄腕アトムのように友好的なアンドロイドを描いたり、時には、レプリカント(「ブレードランナー」)やHAL9000(「2001年宇宙の旅」)のように、テクノロジーの危険な側面を描写しています。

しかし、いまでは業務用、あるいは家庭用としてAI搭載のヒューマノイドが商品化されるなど、その技術は日進月歩の目まぐるしい発展を遂げています。

こうした人工知能とアンドロイドをテーマにした名作「エクス・マキナ」は、わたしたちの人知を超えたAI技術の恐怖を描いています。人間が作り上げた女性型AIロボットのエヴァ(アリシア・ヴィキャンデル)と、エヴァに陶酔していくある青年のイノセントすぎる感情。純粋無垢な青年は、まるで人間と瓜二つのアンドロイド・エヴァに、次第に想いを寄せていくのです。

映画における人工知能、ロボット、アンドロイドなどは、人間に敵対するか、あるいは味方につくかのどちらか一方に明確に分かれますが、この映画の場合はそうした敵味方の概念ではなく、進化した人工知能が人間をあざむくという意味で、AI技術そのものの恐ろしさを暴いているのです。

人間とコミュニケーションを取る中で、次第に学習し、知能を発達させていくエヴァはある時、外の世界に興味を示します。映画のラストでは、この世界に人間以外の存在、すなわち人工知能を搭載した人間そっくりの人工生命体が、すでにこの社会に溶け込んでいるのではないか、というメッセージを投げかけています。

人間をさまざまな面で凌駕しているアンドロイドは、本当に単純な機械なのでしょうか? 本作「エクス・マキナ」では、エヴァが徐々に「人間らしく」成長し、あたかも自我を持っているかのように描かれます。機械が人間のように感情を持つかどうかは不明ですが、少なくとも人間をマネて感情があるように見せかけるなど、人間をあざむくことは容易に可能となるでしょう。

では、自我に目覚めたアンドロイドに危険性はあるのでしょうか?『Detroit: Become Human』や『Fallout』シリーズが、その素朴な疑問に対してさまざまな答えを導き出していたのは、ゲーマーの記憶に新しいですね。

密室型のSFスリラー
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大手のIT企業ブルーブックに勤める青年ケイレブ(ドーナル・グリーソン)は、ひょんなことから社長宅を訪問することに。山奥深くに位置する社長の豪邸に、なんとかたどり着いたケイレブ。そこで目にしたのは、社長が開発したという、人間をはるかに凌駕した女性型のAIロボットだったのです。

本作「エクス・マキナ」の登場人物は、エヴァと青年ケイレブのほかに、社長のネイサン(オスカー・アイザック)と、謎の女性キョウコ(ソノヤ・ミズノ)の4人。電波も届かないような山奥の豪邸で、淡々と物語は進みます。俗にいう密室型のスリラーである本作は、隔離されたエヴァが外の世界に興味を示すという、ある意味で単純な動機。密室という空間を見事に利用し、サスペンスフルな物語を描写しています。

面白いのは、青年ケイレブがAIエヴァのある実験に協力していくうちに、淡い恋心のような感情が芽生えていくところ。外の世界を知っているケイレブと、外の世界を知らないエヴァ。日を追うごとに恋心を強くしていくケイレブは、エヴァの口から発せられた「ネイサンを信じてはいけない」という言葉から、次第にネイサンへの不信感に駆られていくのです。

森林に囲まれた豪邸という、孤立したシチュエーション。こうした構図は映画では、極めてありふれた発想ですが、そこに人工知能、アンドロイドといった現代のテクノロジーを加味することで、いままでにないSFスリラーとして仕上がっているのです。


映画「エクス・マキナ」はNetflixで視聴可能。この映画では人工知能、ロボット工学、そしてテクノロジーの未来を描いています。