◇国内メジャー◇日本プロゴルフ選手権 最終日(4日)◇日光カンツリー倶楽部(栃木県)◇7236yd(パー71)

トップで並走していた稲森佑貴は思わずこぼした。「彼は8番アイアン、僕は3番ユーティリティですからね…」。最終18番、ともにフェアウェイからの第2打の番手にはそれほど大きな差があった。直前のキム・ソンヒョン(韓国)の1Wショットは雨にもかかわらず、300ydで到達する左サイドのバンカーの手前まで飛んでいた。

ビッグドライブを武器にする22歳。ティーチングプロの父の教えで、12歳で本格的にゴルフを始め、母国でプロになって間もなく日本ツアーの扉をたたいた。2019年に下部AbemaTVツアーに参戦し、出場3試合目で初勝利。翌年のシードをさっそく獲得した。

快調な滑り出しを見せたかに思われたキャリアは、新型コロナウイルスのせいで一転ピンチに陥った。韓国ツアーでの出場資格を手放してまでも挑戦した日本ツアーだったが、昨年は渡航の問題で来日できず、母国で数少ない出場のチャンスを1つずつつかんでいく必要があった。すると大会当週の月曜予選会を通過した「韓国プロゴルフ選手権」で優勝。「スタートした時点では心配だったが、結果的に素晴らしい1年になった」と胸をなでおろした。

改めて今年、乗り込んだ日本のレギュラーツアー。開幕から安定感を発揮して予選落ちは2回だけ。そして今度は「日本プロゴルフ選手権」で初勝利を飾った。同じ最終組でプレーしていた池田勇太と稲森が上がり2ホールでそれぞれ1つずつボギーをたたき、短いパーパットでメジャータイトルを獲った。2019年に転戦に帯同してくれていた父はいま韓国にいる。「独り立ちした年にひとりでもやれることを証明できたことに感激します」と喜んだ。

1998年は金谷拓実と同世代。「アマチュアのとき、日本で一緒にプレーした経験がある。すでに自分よりもはるかにうまくて刺激になった」。国内ツアーのスーパールーキーと同様、視線はすでに欧米にある。今大会を節目に一度帰国し、秋に始まるPGAツアーの下部コーン・フェリーツアーの予選会通過が目標だ。

「韓国ではワクチン接種が完了すると、入国後の隔離はなくなったのですが…」。日本では依然としてそうはいかず、海外在住の選手にとってはまだツアー参戦のハードルになる。後半戦の日本での出場は限定的。太平洋の向こうでの挑戦に狙いを定めた。(栃木県日光市/桂川洋一)