◇米国女子◇パロスバーデス選手権 presented by バンク・オブ・アメリカ 2日目(29日)◇パロスバーデスGC (カリフォルニア州)◇6450yd(パー71)

「とりあえず、ウチのわんこに会いたい。たまに、寝ぼけて吠えられるんですけど」。ロサンゼルスの郊外から、渋野日向子は日本にいる愛犬を思い浮かべた。3月、米ツアーメンバーとしての初戦だったシンガポールでの「HSBC女子世界選手権」から数えて7試合が終了。一時帰国を前に振り返るここまでの戦いぶりは、決して満足いくものではなさそうだ。

優勝争いを演じて2位に入った「ロッテ選手権」をはじめ、トップ10入りが3回あった。年間ポイントレース(レース・トゥ・CMEグローブ)は20位。翌年のシード獲得ライン、80位の昨季実績のポイントをすでに超えている。

最初のアジア2連戦は規則上ポイントを獲得できないため、実質的に5試合で目標をクリアした格好だが、本人は喜ぶでもなく「トップ10に入っておいて良かったなという感じ。今はまだ少し余裕はあるけれど、それを当てにしちゃいけない」と語った。

自戒を込めて振り返るのが、直近のロサンゼルス近郊での2試合。前週「LAオープン」は63位と低迷、今週はシーズンで初めて予選落ちした。「終わり方が良くない。(直前までに)結果を出せたことには認めてあげなきゃいけないけれど、そこをまだ認められないような2週間の内容だった」というのが自己評価だ。

そもそも、トップ10入りした3試合も実感は薄いという。「自分の練習ラウンド(の感触)に対して、結果が違うところがあったりするので、ちょっと分からない」と思惑と結果とのギャップを感じていた。

「ハワイ(ロッテ選手権)も(初見では)あまり好印象でなくて。ミッションヒルズ(シェブロン選手権/4位)もそんなに…好きっちゃ好きだけど。タイ(ホンダLPGAタイランド/8位)も『うーん』という感じで」。自分への厳しさがあってこそだが、「戦える」「勝てる」といったような確信めいた手応えは、渋野自身にはまだ少ない。

「ルーキーイヤーは経験しないといけないし、やっぱり難しい」。ツアー参戦初年度は想像以上にタフなものだ。連戦中は試合を日曜日に終え、当日か翌月曜日に次の会場に移動して、新しいコースのチェックを開始する。近年、米女子ツアーの開幕前日のプロアマ戦は多くの大会で各選手が9ホールに設定されており、18ホールの確認に充てられない。海外ツアーはもちろん国内に比べて移動時間が長く、オフの時間も十分にない。それが毎週続く。当然、わんこにも会えない。

性別や年齢を問わず、自分の意志で海を渡り、そこで何年もプレーしてきた選手たちはみな、そのルーキーイヤーの厳しさを乗り越えてきた。渋野は自分のアップダウンの激しい成績、日々の出来を反省し、「上にいる人は安定して上にいるじゃないですか。そういう選手になりたいなって」と語った。“そういう選手”たちは、コース外での物事に関する豊富な知識や、たくましさも強さの一端。渋野も今、経験を蓄えている最中だ。(カリフォルニア州パロスバーデス・エステーツ/桂川洋一)