アジアからすごい新星が現れました。レギュラーシーズン最終戦「ウィンダム選手権」を制したキム・ジュヒョン(韓国)。20歳1カ月17日での優勝は、第二次世界大戦以降のPGAツアーにおいて2013年「ジョンディアクラシック」を勝ったジョーダン・スピース(19歳11カ月17日)に次ぐ年少記録。2000年代生まれの初タイトルでもありました。

そのキャリアは、まさに“第二の松山英樹”。2019年、アジア下部ツアー(ADT)でプロデビュー戦を含め3勝して残りシーズンのアジアンツアー昇格を果たすと、「パナソニックオープンインディア」を制覇。17歳149日での優勝は当時のツアー最年少記録でした。

20年には日本ツアーとの共催「SMBCシンガポールオープン」でマット・クーチャーやジャスティン・ローズ(イングランド)らに次ぐ4位に入り、「全英オープン」の出場権を獲得。その全英がコロナ禍で中止となる不運があっても、勢いは止まりません。21年は韓国ツアーで賞金王に輝きました。

今季はPGAツアーへのスポット参戦が増え、7月「ジェネシス・スコットランドオープン」で3位に入るなど着実にポイントを加算。翌週の全英も予選を通過し、スペシャルテンポラリーメンバーとして認められました。ノンメンバーでも前シーズンのフェデックスカップポイントランキング150位相当を稼げば、推薦出場の上限(7試合)が撤廃されるというもの。9年前、松山選手がわずかなチャンスを生かしてシードを決めたときにも通った道ですね。

当時の松山選手よりも若い20歳の快進撃。ハイレベルな選手がそろい、異なる芝質や長くなるコースへの対応、言葉の壁や食文化の違い…タフな環境でチャンスをつかむために必要なのは技術だけではありません。体力、そして自分を見失わない強い意志が求められます。

幼少期に中国、タイ、オーストラリア、フィリピンなど様々な国で暮らし、英語や韓国語、タガログ語が堪能という点は間違いなくプラスとなったはず。今後ツアーになじんでいく上でも助けになると思います。

日本からも新星の登場を願うところですが、この最短ルートを切り開けるのは、ほんのひと握りというのも事実。まずは下部コーンフェリーツアーや欧州ツアー(DPワールドツアー)に挑み、PGAツアー昇格を目指す選手がどれだけ出てくるか。入れ替え戦に臨む小平智選手と金谷拓実選手の奮闘にも期待しましょう。(解説・進藤大典)